公開された音声データは2016年のものだが、疑惑の声は2011年の山根会長就任当時からあったと同会は明かす。しかし、結束に時間がかかり、約7年もの間山根会長を野放しにする結果に。今後、山根会長の除名と理事会解任を求める姿勢は崩さない方針だ。

 また、告発に対し山根会長は日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」で法的に措置を取る意向を示したが、「名誉棄損にならないと確信がある」と主張した。

 山根会長に権力が集中したことについて、同席した代理人弁護士の戸田裕典氏は「恐怖政治」だと見ている。「自分に反対する人間を除名、辞任し、味方のみで理事会を構成するようになった」という。また、総会での議決権が47都道府県の会長票の他に理事が一人一票を投じることができる仕組みにも問題があると指摘し、「一度理事になり、仲間を増やせば地位が確固たるものになるという印象」と話した。

 2020年の東京オリンピックに向けて早急な立て直しが求められているが、次の会長についてはまだ話し合う段階ではなく、候補もいないという。しかし、「新しいボクシング界を作る資格を持つ人材は豊富にいる。適材適所で必ず乗り切れる」と代表の鶴木良夫氏は言い切る。自身が候補に入っているかを問われると「(候補から)外れています」と初めての笑顔を見せた。

 また、山根会長は告発者333人の中にも反社会的勢力との関わりを持つ人物がいると会見で主張したが、戸田弁護士は主力幹部へのヒアリングから、つながりを持つ者はいないと断言する。なお、個別の調査は行っていないという。

 会見を司会した女性は、

「本日、会見をするのはボクシングを良くしたいという思いだけで集まった、普通のおじさんです」と紹介したが、“カリスマ山根”も辞任後は普通のおじさんに戻る? (AERA dot. 編集部・福井しほ)