自分を否定せず、自分自身を大事にしながら、散歩をして、読書をする。不満を感じていた両親や夫に対しての感情もだんだんと変わっていきました。

 風邪をこじらせて親元へ行き、自宅に戻ってきたのが今年の5月、2カ月前のことです。いまでは家事ができるのもありがたいなと感じています。ひきこもりの当初は、一日があまりに長く感じていましたからね。

 それから、ブックレット『ひきこもり女子会』(発行/ひきこもりUX会議)を読んだのも私にとっては大きな変化でした。ひきこもっている女性、ましてや主婦のことについてはネットでもほとんど情報がありません。ブックレットには実際の当事者が体験を書いていて、私の支えになりました。

――ありがとうございました。(聞き手・石井志昂)

■マキコさん(仮名)略歴
 50歳女性。高校卒業後、就職。職場で出会った男性と1996年に結婚。2014年に体調不良を機にひきこもりが始まる。ひきこもり歴は現在に至るまで4年。夫と二人暮らし

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石井志昂

石井志昂

石井志昂(いしい・しこう)/1982年、東京都町田市出身。中学校受験を機に学校生活があわなくなり、教員や校則、いじめなどを理由に中学2年生から不登校。同年、フリースクール「東京シューレ」へ入会。19歳からNPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から編集長。これまで、不登校の子どもや若者、識者など400人以上に取材してきた

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