■秘密を減らし公文書を国民が使えるようにするための改革とは

 こうした官僚たちの習性をよく勘案したうえで、公文書管理と情報公開の仕組みを抜本的に改め、法律改正まで行うことが必要だ。

 具体例を挙げれば、

 あらゆる文書・メール・電磁的記録・音声データなどは、手書きメモも含めてすべて残す。それが仕事に関係すれば、個人メモ扱いは一切許さない。役所内で作られれば、仕事に関連したものとみなす。

 それを勝手に隠ぺい、改ざん、廃棄すれば、それだけで刑事罰とする。

 内部告発窓口を日弁連など役所と関係ない機関に置く。

 文書を廃棄する場合は、保存期間経過後であっても、まずその旨をネットで告知し、一人でも保存を希望する国民がいれば、保存する。

 秘密文書をそのまま廃棄することは認めず、公開した後でなければ廃棄できないこととする。

 個人のPCやUSBの持ち込みは禁止し、在宅勤務の際の文書管理の規制のルールなども整備する。

 以上はやるべきことのほんの一部であり、詳細は、別の機会に譲るが、一言で言えば、官僚の裁量を極力排除すること、第三者による監視を行うこと、そして、厳しい罰則を設けてそれを執行することである。

 ただ、法律を作るのは与党政治家、その案を作るのは官僚たちだ。そういう構造を考えると、実効性のある公文書管理と情報公開の仕組みができることはほどんと期待できないが、それでも、粘り強く国民がそれを求めていかなければならない。

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古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

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