「インターナショナル幼稚園」や「プリスクール」と呼ばれる、英語で幼児教育を行う幼稚園などに通わせたいという親が増えているようです。どのような効果があるのでしょうか。「AERA English特別号『英語に強くなる小学校選び2019』」で、幼児の英語教育に詳しい清水万里子さんに聞きました。

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 子どもの英語力を伸ばすポイントは「学習」ではなく「環境」です。常に英語が聞こえる環境で育てば、誰でも英語は身につくと言っていいでしょう。

 従来の日本の英語教育のように、週に何回か机に向かって学ぶのではなく、そこに英語がある、暮らしの中に英語があるという体験が自然な習得へとつながっていくのです。「皮膚感覚の英語」などという言い方もありますが、頭で学ぶのではなく、皮膚が呼吸をするように、染みていくように英語が入っていく。繰り返し聞こえてくれば、初めは意味が分からなくても理解できるようになるし、発音もできるようになります。まずは聞くことが重要です。

 そして、その経験は幼児期であることが理想です。バイリンガルの幼児はよく「ものには二つ名前がある」と話します。「本」は「ほん」と「book」と二つの名前を持っているというのです。二つの言語をほぼ同時に習得していくため、日本語か英語かの区別がなく同列に理解していくのでしょう。母語である日本語と同様に言葉を獲得していく幼児期に、たくさん英語に触れる環境が与えられれば、間違いなく英語力はついてくると考えられます。

■幼児教育の質にも注目したい

 そうした「英語漬け」の環境を求めたとき、選択肢として挙がってくるのがインターナショナル幼稚園や、プリスクールと呼ばれる施設です。子どもを通わせたいと注目が高まっていますが、目を向けていただきたいのは、英語の習得だけではなく、「幼児教育の質」です。あくまでも教育機関であって英会話教室ではないのですから、教育的観点は不可欠。園としてしっかりとした教育方針を掲げ、指導者には教育者としての力量が備わっているところを選ぶ必要があります。

 まず、入園して3カ月間は、子どもたちはひたすら英語を聞いています。4歳児の場合、6カ月で簡単な問いかけに英語で答えたり、英語の指示で動けるようになり、1年たつと、自分から英語で質問したり、英語で自分の意思を表現したりといったことができるようになります。

 英語の早期教育は英語力を養成するだけでなく、英語を通して視野を広げるというメリットもあります。家庭では意識してきちんとした日本語を使うなどの配慮をしたうえで、英語経験を積ませるのもいいのではないでしょうか。

◯清水万里子(しみず・まりこ)
幼児・児童向けの英語教育カリキュラム開発、指導法を研究する子どもの英語教育専門家。新聞、テレビで活躍するほか、情報サイト「All About」でも専門ガイドを務める。著書に『はじめての親子英会話 あそび編』(アスク出版)など。

(文/深津チヅ子)

※「AERA English特別号『英語に強くなる小学校選び2019』」から抜粋

【AERA English 特別号】英語に強くなる小学校選び 2019 (AERAムック)

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深津チヅ子
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