2~5歳児が通い、英語と日本語、両方を使う“バイリンガル幼児園”がある。子どもたちはどんな生活を送っているのか。そして、英語力はどの程度育まれるのか。「AERA English特別号『英語に強くなる小学校選び2019』」で取材した。

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 午後2時過ぎ、東京都三鷹市にある「キッズデュオインターナショナル(KDI)」では、お昼寝が終わり、午後のカリキュラムが始まる。この日、「ラーニングステーション」と呼ばれる職業体験コーナーでは、エプロン姿の年少児たちがパンプディング作りに挑戦していた。材料や手順の説明はバイリンガルの先生が全て英語で行い、日本語はいっさい聞かれない。

「年少々(2歳児クラス)と年少はインプットの時期。聞いて行動はできますが、まだ英語は話せず、ひたすら聴く力を養います。ネイティブとバイリンガルの教師から日常的に英語のシャワーを浴びることで一生ものの英語耳が作られ、年中を過ぎる頃にはアウトプットに転じて、どの子も英語を話すようになります」と、小野木文香園長。

 ここでは入園時に英語力は求められず、両親も日本語を話す家庭がほとんど。しかし、年長になると8割の時間は英語で過ごすようカリキュラムが組まれ、園にいる間は英語が自然に飛び交う環境だ。そのため、先生とのやりとりだけでなく、友達同士の会話でも当たり前のように英語が出てくるという。

■算数や国語の教育は小3レベルまで

 KDIでは英語力だけでなく、卒園までに小学校3年生レベルの算数力と国語力、運動能力が身につくことを目標に、知育学習、運動指導にも力を入れている。担当するのは主に日本人の先生で、学校教育の土台作りをめざしている。きちんとした日本語による知的経験と英語力の両輪があってこそ、国際人としての素地を育むことができるとの考えからだ。小学校入学後は日本語の力は不可欠になるため、年長になると、読解力など日本語の時間も大切にすると、小野木園長は説明する。

 こうしたバイリンガル教育に注目する親は多く、例年、入園希望者は定員の倍近くにのぼるといい、同園は2019年4月までに新たに3園をオープンする予定だという。

(文/深津チヅ子)

※「AERA English特別号『英語に強くなる小学校選び2019』」から抜粋

【AERA English 特別号】英語に強くなる小学校選び 2019 (AERAムック)

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深津チヅ子
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