白鵬、稀勢の里は高齢化でボロボロ…御嶽海ら学生相撲出身者が拓く「新時代」 (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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白鵬、稀勢の里は高齢化でボロボロ…御嶽海ら学生相撲出身者が拓く「新時代」

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十枝慶二dot.
白鵬ら有力力士の休場が相次いだ名古屋場所 (c)朝日新聞社

白鵬ら有力力士の休場が相次いだ名古屋場所 (c)朝日新聞社

■次の牽引役は学生相撲出身者?

 大関陣も決して若いとはいえない。28歳の高安が最年少で、豪栄道は32歳、栃ノ心も大関に昇進したばかりとはいえすでに30歳だ。大関は2場所連続して負け越すと落ちる地位だが、高安も豪栄道も夏場所はケガで休場し、名古屋場所は負け越せば陥落の「カド番」と呼ばれる立場だった。

 そんな状況で上位陣に休場が続き、このままでは横綱・大関が番付から消えてしまうのではないかと、相撲界の今後が不安視されたのだ。しかし、主役不在の中で行われた名古屋場所は、今後の相撲界に一筋の光明を照らしてくれる展開となった。

 牽引役となったのは25歳の関脇・御嶽海だ。アマチュア横綱と学生横綱に輝いた大器で、早くから将来を期待され、横綱・大関に次ぐ地位である三役(関脇・小結)連続9場所在位と安定感を誇りながら、これまで、大関昇進のきっかけの目安とされる三役での二ケタ勝利が1度もなかった。しかし、今場所は一気にその壁を破り、13勝2敗で見事に初優勝。長野県出身力士の優勝は史上初で、優勝制度設立前の江戸時代の長野県出身の強豪力士・雷電になぞえらえる声も聞かれる。その御嶽海と終盤まで優勝を争ったのは、24歳の豊山と朝乃山。ともに三役経験もない若手が溌剌たる相撲を見せ、土俵を盛り上げてくれた。特に千秋楽、豊山が、すでに優勝を決めていた御嶽海に挑み、互いに一歩も引かぬ大熱戦の末に一矢報いた相撲は、こうした若い世代が切磋琢磨し、大関、横綱へと競い合う、ワクワクするような未来図を示してくれた。

 そこで浮き彫りになるキーワードは、学生相撲だ。優勝した御嶽海は東洋大学出身。豊山は東京農大出身、朝乃山は近畿大出身。特に豊山と朝乃山は同学年で、互いを意識しながら競い合ってきた。ほかにも、日体大出身の北勝富士は御嶽海と同学年のライバルで、学生横綱をかけたインカレ個人戦決勝で激突したこともある。御嶽海の2学年上にいるのが日大出身の遠藤で、アマ横綱を獲得した時の全日本選手権決勝の相手が、1学年下(御嶽海の1学年上)で東京農大出身の正代だ。

 これまでにも学生相撲出身の力士は何人も大相撲で活躍してきた。学生時代のライバル同士が入門し、競い合った例もある。しかし、学生出身の横綱は輪島ただ1人しかいないことに象徴されるように、これまで時代をつくってきたのは、中学を卒業してすぐ相撲界に入った「たたき上げ」の力士であり、近年ではモンゴル出身力士たちが土俵を席巻してきた。アマ横綱や学生横綱を競ったライバルが、大相撲の土俵でも優勝をかけて激突したり、横綱・大関昇進を競ったりすることはなかった。しかし、御嶽海を筆頭とする新しい世代の力士たちは、その壁を破ろうとしているのだ。

 もちろん、白鵬、鶴竜、稀勢の里の現役3横綱にも、このままやすやすと世代交代を許すつもりはないだろう。大関陣も、新大関栃ノ心はケガをしたとはいえ横綱を狙う実力は十分だし、豪栄道には高校相撲出身の先輩としての意地もある。御嶽海らと世代が近いが中卒「たたき上げ」の高安と学生出身力士たちとの競い合いも楽しみだ。しばらくは土俵から目が離せそうにない。(文・十枝慶二)


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