白鵬ら有力力士の休場が相次いだ名古屋場所 (c)朝日新聞社
白鵬ら有力力士の休場が相次いだ名古屋場所 (c)朝日新聞社

 7月23日、酷暑の中で幕を閉じた大相撲名古屋場所。序盤戦はファンにとって、不安ばかりが募る展開だった。稀勢の里が、新横綱の1年半前に負った左上腕付近のケガが尾を引いて全休。横綱としては史上最多となる8場所連続休場なった。さらに、3連勝スタートを切って好調と見られた白鵬が、支度部屋で準備運動中に右ヒザを痛め、4日目から突然の休場。3連覇を目指していた鶴竜も、3連勝後2連敗と不振に陥り、6日目に右ヒジの古傷の悪化のため途中休場。3横綱全員休場という19年ぶりの事態に陥ってしまった。初日から5連勝と快調なスタートを切っていた新大関の栃ノ心に期待がかかったが、こちらも、6日目の玉鷲戦で右足親指を痛めて7日目から途中休場。土俵の主役が次々と土俵から消えてしまったのだ。

 休場力士の多い要因の一つとして考えられるのが、上位陣の高齢化だ。白鵬は33歳で、鶴竜は8月に33歳になる。稀勢の里は名古屋場所直前の7月3日に32歳になった。近年引退した10人の横綱の引退年齢を並べると、日馬富士33歳、朝青龍29歳、武蔵丸32歳、貴乃花30歳、曙31歳、若乃花29歳、北勝海28歳、旭富士31歳、大乃国28歳、千代の富士35歳。千代の富士をのぞけば、すべて現役の3横綱と同年齢からそれより下だ。

 年齢を重ねるとともに体にひずみが生まれ、休みがちになるのは仕方のないことだ。史上最多優勝回数を誇る大横綱白鵬は2007年に22歳で横綱に昇進して以来8年間、無休を続けてきたが、30歳で迎えた15年9月場所に横綱として初めて休場すると、16年には年6場所中1場所、17年には2場所と少しずつ休場が増え、今年は4場所中3場所休場で、皆勤は1場所しかない。稀勢の里は、初土俵から大関時代まで、わずか1日しか休場がなかったが、30歳だった新横綱の17年3月場所で大ケガを負い、その場所は奇跡の逆転優勝を成し遂げたものの、以降、休場が続いている。

 鶴竜は、大関時代までは1場所しか休場がなかったが、横綱昇進2年目の15年3月に左肩の古傷を悪化させて休場し、以降は肩、腰などにケガが相次いで休みがちになった。横綱は、休場しても地位が下がることはないかわりに、不成績だと引退しなければならない立場だ。そのため、序盤戦で負けが続けば、それほど体が悪くなくても休んだのでないかと疑われる。実際、そうした側面がないとはいえないだろうが、3横綱とも、年齢的に、丈夫だった体に衰えがき始めており、いつ引退してもおかしくないのは事実だ。

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