延長戦で決定的な3点を追加したのに、ベース踏み忘れで取り消され、直後、逆転サヨナラ負けの悲劇が起きたのが、2017年の埼玉県大会2回戦、日高vs飯能。

 部員不足の両校は3月まで合同チームを組んでいたチームメート同士だったが、抽選くじのいたずらか、くしくも初戦で敵味方に分かれて対戦することになった。どちらも1年生を加えた13人ずつで試合に臨んだ。

 初回に日高が1点を先行すると、飯能も2回に追いつき、その後、1点ずつを取り合って2対2のまま延長戦へ。

 12回、日高は1点を勝ち越し、なおも2死満塁のチャンスに4番・岡村勇飛主将が中越えに走者一掃の三塁打を放ち、6対2とリードを広げた。

 これで勝負あったかと思われた直後、飯能側から「一塁ベースを踏んでいない」とアピールがあり、なんと三塁打と追加の3点は取り消し。一転スリーアウトチェンジとなった。

 その裏、同点に追いつかれてなおも1死満塁のピンチにスクイズを決められ、3対4で無念の逆転サヨナラ負け……。正智深谷からの転校生で、2年生ながら最後の夏となった岡村は「あれで流れが変わった。主将として申し訳ない」と号泣したが、「(最後の相手が)飯能で良かったと思う」と元チームメートにエールを送った。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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