痛みから解放された体に快感が広がった。

 四つん這いの姿勢からしばらく動けなかった。

 やっとのことで振り向くと、大きな目をばちっと開いた赤ちゃんが、看護師さんに抱えられてこっちを向いていた。

 私の最初の一言は、

「やだ!」

 だった。

 目を開けてるとは思わなかったのでびっくりした。

 仰向けになると、看護師さんが赤ちゃんを抱かせてくれた。

 この数時間、この瞬間をどれだけ待ちわびていたことか。

 可愛い、とか嬉しい、と言う感情の前に、とにかく、

「わあーー、これが赤ちゃんか、わあーーーすごい、わあーー手がちっちゃい」

 など、総合すると、

「わあーーー」

 と言う思いでいっぱいだった。そして、とにかくホッとした。

 その隙に年配の先生が来て、会陰部をチクチク縫ってくれた。

 恐れていた会陰切開はなかったけれど、

「数カ所、傷になってるので少し縫いますねー」

 とのことだった。

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出産は本当に壮絶だと思った理由とは?