愛媛県宇和島市吉田町では、山間部の多くの集落が複数の河川の土石流で被害を受けた(撮影/桐島瞬)
愛媛県宇和島市吉田町では、山間部の多くの集落が複数の河川の土石流で被害を受けた(撮影/桐島瞬)

 200人を超える死者を出した西日本豪雨。ほとんどの地域で水は引いたが、現地を歩くと、ボランティア不足、熱中症、避難所でのストレスなど被災者の生活再建に向けて山積する課題が見えてきた。

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 肱川(ひじがわ)が氾濫して5人が亡くなった愛媛県西予市野村地区。伊藤博江さん(70)は、川沿いの築120年の持ち家が2階まで浸水した。川の水位が上昇していることを知り、現在住んでいる大阪府高槻市の家から夫と二人で慌てて車で駆け付けたが、土砂で道が塞がれ、着いたのは浸水の2日後だった。

「親類の葬儀などがあるたびに西予に帰ってくるため、家財道具や喪服など一式を家に置いていましたが、その全てが水と泥に浸かり使えなくなりました。泥の匂いもあるし、この家は解体するしかありません。1カ月前には高槻で震度6弱の地震に被災し、自宅が被害を受けたばかりなのに……」

 現在までにわかっている豪雨による住宅被害件数は31都道府県で約3万3000件。家屋に加え、たくさんの車も流されたり土砂に埋まったりした。水害の場合、保険は使えるのだろうか。日本損害保険協会によると、家屋は火災保険、車は車両保険でカバーされるという。

「家の場合、床上浸水でも保険金が請求できます。車両保険に入っていれば、河川の増水や決壊で車が流されたり傷ついたりした損害に対しても適用されます」

 ただし、補償プランによっては適用されない場合もあるので、加入する保険会社に照会することが必要だ。 中立的な立場で相談に乗ってくれる「そんぽADRセンター(電話0570-022808)通話料有料」もある。

 家を失い避難所暮らしをする被災者は約5千人。プライバシーのない生活が長期化すると疲労がたまる。すでに県営・市営住宅などの空き部屋を「みなし仮設住宅」として無料提供する動きも始まっている。だが、倍率が高く、入居がなかなか決まらないケースもあるという。

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ボランティアとして被災地に入る際に気を付けることは何か。