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四谷怪談を有名にした「たたり」 上演前に必ずしていたこととは?

連載「あなたの知らない神社仏閣の世界」

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「陽運寺」山門

「陽運寺」山門

四谷於岩稲荷田宮神社

四谷於岩稲荷田宮神社

「妙行寺」入り口付近にある碑

「妙行寺」入り口付近にある碑

 夏になれば出てくるのが蚊とお化け話。日本の夏の風物詩と言ってもよいだろう。怪談ものの中でも四谷怪談、(番町)皿屋敷、牡丹灯籠は「日本三大怪談話」として挙げられることも多い。今回は、四谷怪談について。

【四谷於岩稲荷田宮神社や妙行寺の碑の写真はこちら】

●戯作者・鶴屋南北が生んだ作品

 四谷怪談は、鶴屋南北(つるやなんぼく)という江戸随一と名高い戯作者が生み出したフィクションである。元禄時代に起きた事件を下敷きに「東海道四谷怪談」としてしたためたとも言われているが、研究者の意見も分かれており、今となっては半分くらいフィクションなのか、まったくの創作なのか定かではない。ひとつだけ確かなことは、登場人物の「お岩さま」は実在したということだ。

●菊五郎、團十郎の当たり役に

 東海道四谷怪談は中村座で初演され、尾上菊五郎演じる岩と市川團十郎による伊右衛門は大当たりを見せ、以後も人気の演目となっていった。また、幕末から明治にかけて活躍した落語家・三遊亭圓朝のお家芸である怪談噺のひとつとしても知られていた。四谷怪談は江戸時代後期にはすでに、誰もが知る有名な話となっていたのである。

●演じる前にはお参りを

 四谷怪談を有名にしたのは、歌舞伎などでこの話を上演すると「たたり」があり、幕が開く前に必ずお岩さんの墓参りが必要だ―─というウワサが広まったことにも一因がある。一瞬で人が入れ替わる「戸板がえし」や、梳く度に髪の抜けていく壮絶な場面「髪梳き」など、大掛かりな仕掛けから細かな演出までを短時間で準備する舞台は、「たたり」がなくとも手違いが多かっただろうことは想像に難くない。これらのミスと「たたり」を免れるため、大々的な法要を行うことで、舞台の広告にもなったと思われる。この「クランクイン前のお参り」は、現代までも続く縁起担ぎとなっている。

●都内に4つのお岩さま由縁の地

 東京には、演者が参るお寺がいくつかある。

 ひとつは当然ながら、実在の人物だったお岩さまのお墓である。巣鴨にある妙行寺のお墓にはお花が絶えず、子孫が大事に菩提を守っている。


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