ソフトバンク・柳田悠岐 (c)朝日新聞社
ソフトバンク・柳田悠岐 (c)朝日新聞社

 今年のオールスターファン投票で3年連続で両リーグ最多得票を集めたのが、ソフトバンク・柳田悠岐だ。投票数は、61万9150票を数えた。これは有効投票数・212万3535票の約3分の1にあたる。

「たくさんのファンの方から評価して頂いて、すごく光栄です。まずはがむしゃらに、シーズン中と変わらず、一生懸命にプレーしたいですね」

 3年連続の最多得票を獲得したプレーヤーは柳田を含め、これまで5人しかいない。オリックス・イチローの6年連続(95-00年)、大毎・山内和弘(一弘)の4年連続(59-62年)に続き、柳田の師ともいえる巨人・王貞治(現ソフトバンク球団会長)が、63-65年、78-80年の2度、近鉄・大石大二郎が84-86年に、3年連続で選出されている。

 最多得票は、その年にファンが「最も見たい選手」とも言えるもの。3年連続の両リーグ最多得票数という栄誉は、人気と実力を兼ね備えたスター選手だけが得られる称号であり、プロ野球ファンの圧倒的な支持の証明でもある。

 柳田にとっては、5年連続5度目のオールスター出場となる。2014年の第2戦(甲子園)では、中日・山井大介からバックスクリーンへ2ランを放つなど1試合4安打をマークして文句なしのMVP。昨年7月14、15両日の試合前に行われたホームラン競争では2日連続での優勝。オールスターでも期待を裏切らない男が、5度目のオールスターを前に掲げた「2つの野望」がある。

「クスノキに向かって、かち上げたいッス。クスノキに入れたいなと」

 柳田が連呼する「クスノキ」とは、一体何か?

 実は、球宴第2戦が行われる本・リブワーク藤崎台球場のバックスクリーン左には、うっそうと茂ったクスノキ群が位置している。

 球場名物ともいえる、珍しい「森」を彩るクスノキの中には樹齢1000年とも言われているものがある。幹囲12メートル、高さ28メートルの大木だ。小さいクスノキでも、幹囲7メートル、高さ20メートルもあり、その樹齢は400年とも言われている。

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「クスノキ群」へ消える強烈な一打をぶち込みたい