一部報道では、2006年W杯でドイツ代表を率いたユルゲン・クリンスマン氏の名前も挙がっている。しかし、彼はこのロシア大会に向けたアメリカ代表で北中米カリブ海予選を突破できず、いわば失敗したばかりの監督でもある。選手選考も自身の好みを強く反映するタイプであり、このロシア大会直前の日本に何が起こったのかを考えれば、危険性の方がまず目についてしまうのは事実だ。

 このタイミングでは、W杯ですでに敗退したチームの中には監督の退任が決まっているところもある。例えば、コロンビア代表の監督を退任するホセ・ペケルマン氏は、日本代表チームを任せるに必要な要素を満たす存在であると言えそうだ。過去にも候補として名前が挙がったことがあるが、十分に考慮できる名前である。その上で、このロシア大会で日本と対戦したことから、スカウティングも含めてすでに日本のここ1年ほどの試合を見ているはずであることも、プラス要素だと言える。

 また、昨シーズン限りでどこかのクラブを退任したという意味では、アーセナルで20年以上の指揮を終えたアーセン・ベンゲル氏も名前が挙がる1人だ。過去には名古屋グランパスを率いた経験があり、そこからかなりの年月がたっているとはいえ、日本に対して多少なりとも理解があることはプラス材料だと言える。

 他にも、名前を挙げればキリがないほどの名将もいるのだが、交渉のパイプを持っているのかどうかというのは難しい要素だ。例えば、イタリア方面に目を向けるなら、ブラジル大会の日本を率いて現在はUAE代表監督のアルベルト・ザッケローニ氏の協力を得るなど、何かの伝手が必要だと言える。しかし、そうした広がりは国際親善試合のマッチメークにつながることもあるため、世界的に知名度のある監督やクラブレベルで多くの経験を積む指揮官に任せることには、そうした副産物が生まれることもある。例えば、06年ドイツW杯で指揮を執ったジーコ監督の時の日本は、その顔の広さで多くの効果的なマッチメークを実現したという過去がある。

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日本人で候補となるのは?