オードリーの若林 正恭 (c)朝日新聞社
オードリーの若林 正恭 (c)朝日新聞社

 7月1日、『激レアさんを連れてきた。映画みたいな激レアサクセスストーリー ゴールデンSP』(テレビ朝日系)が放送された。これは夜11時台にレギュラー放送されている『激レアさんを連れてきた。』の特番である。ゴールデンタイムに特番を放送するというのは番組が好調である証だ。

 夜11時台はいまや「第二のゴールデンタイム」とも言われるほど注目度の高い枠である。流行に敏感な学生や社会人は忙しくてゴールデンタイムに家にいないことも多く、むしろこの時間帯のバラエティ番組を熱心に見る傾向にあるからだ。テレビ朝日ではこの時間帯で「ネオバラエティ」として『『ぷっ』すま』『アメトーーク!』『Qさま!!』など、さまざまな人気番組を放送してきた。

 この枠で『激レアさんを連れてきた。』が新たに脚光を浴びている。滅多にないような「激レア」な体験をした人を「研究サンプル」として取り上げて、その体験談を詳しく紹介している。

 ゲストの人生を掘り下げていくという意味では、いわゆる「人物ドキュメント」系の番組にあたるのだが、この番組ではその見せ方に新しさがある。

 人物ドキュメント番組で用いられる一般的な手法は「VTR」または「スタジオトーク」である。ロケと再現ドラマを交えたVTRで見せていくというのが1つのやり方。もしくは、ゲストをスタジオに招いてMCの質問に答えてもらう、というスタジオトーク形式がある。

 また、特殊な例としては、以前放送されていた『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日系)のように「本人がプレゼン形式で一方的に語る」というものがある。いずれにせよ、VTRで見せるか、本人に話してもらうか、大きく分けてこの2つのパターンがあった。

 だが、『激レアさんを連れてきた。』はどちらでもない新しいやり方を採用している。白衣を着た弘中綾香アナが「研究助手」として、「研究員」であるオードリーの若林正恭に対してプレゼンをする形でエピソードを紹介するのだ。彼女は、手作り感あふれるチープな手書きボードや模型などを駆使して説明をしていく。これが番組独自のカラーになっている。激レアな体験をした本人もスタジオに招かれているのだが、発言は少なめで、あくまでも弘中のプレゼンが番組の軸になっている。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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