若い頃なら、我慢できなかったこうした価値観の違いも、楽しめる余裕があり、不思議と嫌悪感を抱かなかったという。

「驚きの連続でしたけど、それが、かえって面白かったし、とても新鮮でしたね。慣れるまで結構、時間はかかりましたけど(笑)。今はちょっとやそっとのことでは驚かなくなりましたよ。20代、30代の頃は自分の価値観が絶対というところがあって、違いをなかなか認められなかったし、譲れなかったし、耐えられなかったです。もし結婚していたら、間違いなく離婚していたでしょう。今はその違いを認められるようになりましたし、楽しめるようになりました。これも年の功というか、晩婚のメリットのひとつだと思っています」

料理は夫、掃除・洗濯は私が担当 できないことは無理してやらない

 結婚を機に家を出た田島さんは、それまでは実家で親と同居。ひとり暮らしの経験がなく、親が元気なときは、仕事が忙しいこともあって家事のすべてを母親に任せっぱなしだった。結婚したときに、「さぞや大変だったのでは?」と思いきや……。

「恥ずかしいんですが、家事全般が苦手でほとんどできませんでした。特に料理がダメでそれは今も変わりません。でも、新婚の頃は義父のごはんも作っていたんです。私の家は薄味だったので、私が作るとどうしても薄い味になってしまい、夫も義父もそれがどうも気に入らなかったみたいで“ごはん作り禁止令”が出ました(笑)。以来、料理は夫が担当し、義父の食事、私たち夫婦の食事を作っています。仕事で遅くなる日は私たちは外食やお弁当で済ませ、義父の食事は作り置きで対応していますね。料理をしない分、掃除や洗濯は私の担当です。周囲は理解できないようですが、我が家はこれで円満。できないことは『できない』と言えるもの50歳からの結婚のよさです」

■親の介護や出産のこと…50歳婚ならではの悩み

 もちろん、メリットだけではない。高齢の親の介護、子どもを産むリミット、もしくはあきらめるタイミングなど、悩みは多い。特に親の介護がネックになり、40代、50代は、なかなか結婚に踏みきれない人がいるという話も耳にする。田島さん自身も、高齢で要介護3の義父と同居しながら、実家の親の介護もしている。

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