1回戦の紫波総合戦は2打数2安打3打点、2回戦の岩手戦は1本塁打を含む4打数3安打2打点、3回戦の盛岡市立戦は3打数2安打、4回戦の一関学院戦は4打数3安打1打点、準々決勝の久慈工戦は3打数2安打1打点、準決勝の盛岡大付戦は4打数2安打1打点。準決勝までの6試合で20打数14安打8打点の打率7割をマークした。

 そして、初の甲子園出場がかかった決勝の花巻東戦でも、銀次は“安打製造機”ぶりを発揮する。初回、先頭打者として初球を中前安打して出塁すると、犠打で二進後、タイムリーで先制のホームを踏んだ。

 だが、2対1の8回、満塁のピンチにタイムリーを許し、逆転された直後、なおも2死一、三塁で次打者を外角低めで空振りを取った際に痛恨の捕逸。2対4とリードを広げられた。

「あの1点は絶対に取り戻す」。9回1死から打席に立った銀次は執念の右中間三塁打を放ち、次打者の二ゴロの間に3点目のホームを踏んだ。しかし、あと1点及ばず、無念の敗戦……。

 憧れの甲子園出場は夢と消えたが、この試合でも4打数4安打を記録した銀次は、通算打率7割5分(24打数18安打)という驚異的な数字を岩手県高校野球史の1ページに刻んだ。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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