J SPORTSデイリーサッカーニュース番組「Foot!」で、芸人でサッカー解説者の平畠啓史さんと、芥川・川端賞作家、津村記久子さんの対談が放送され、話題となった。津村さんは大のサッカーファンで、サッカー国内2部リーグ22チームのファン22人を主人公にしたサポーター小説『ディス・イズ・ザ・デイ』を書き上げたほどだ。今回は特別に、「Foot!」のスペシャル対談ダイジェスト版をお届けする。

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平畠:津村さんのこの本(『ディス・イズ・ザ・デイ』)の中で、チャントを作るくだりがあるじゃないですか(第10話「唱和する芝生」より)。チャント、応援する歌のことですが、ああいうのはやっぱり聴いてておもしろいんですか?

津村:おもしろいですね。ゴール裏でチャント作っている人の年齢がなんとなくわかったりしますよね。

平畠:この曲選ぶってことは、ははーん昭和50年代生まれだな、とか。

津村:私より5は上かな、同年代だな、ちょっと若いなとか、あります。

平畠:単純に選手が群馬出身だから(主なメンバーが群馬出身の)BOOWYの曲なんてパターンもあるし、たどっていったらいろいろ発見がありまよね。

津村:理由がちゃんとあるんですよね。歌詞も考え抜かれてるなあと思う。とあるチームのチャントを作る会議を見に行ったことがあるんです。

平畠:おお、どんなんでした?

津村:おもしろかったです。この小説にも書かせてもらったんですが、曲のプレゼンをみんなでし合って、多数決で決めたりする様子を見てきました。

平畠:今シーズンから◯◯選手が入ってきたから歌作りましょう、ってことですよね。

津村:はい。まずfacebookで新加入選手のチャントを募集して、◯月◯日のキックオフ1時間前にスタジアムのどこそこで行いますって告知が出て。それで実際に集まってそれぞれ挙手して多数決で決まるんですね。1選手について3曲くらい候補がある。

平畠:プレゼンっていきなり歌っちゃうんですか?

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