J SPORTSデイリーサッカーニュース番組「foot!」で、芸人でサッカー解説者の平畠啓史さんと、芥川・川端賞作家、津村記久子さんの対談が放送され、話題となった。津村さんは大のサッカーファンで、サッカー国内2部リーグ22チームのファン22人を主人公にしたサポーター小説『ディス・イズ・ザ・デイ』を書き上げたほどだ。今回は特別に、「foot!」のスペシャル対談ダイジェスト版をお届けする。

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■J2サポの物語を書こうと思ったきっかけ

平畠:これまではサッカーに関係ない小説を書いてこられたんですよね。

津村:そうですね。サッカーは好きでテレビとかで10年くらい見てきました。Jリーグはこの2、3年見ていて、やっぱりおもしろいなあ、J2がとくにおもしろいなあと。そんな時ちょうど新聞連載の仕事を依頼された縁もあって、サッカーのJ2の話を書くことになりました。

平畠:津村さんは関西にお住まいということなんで、サッカー観に行こってなったら普通はJ1のガンバ(大阪)とか(ヴィッセル)神戸行っとく?ってことにならないですか。なぜJ2?

津村:セレッソ(大阪)を観に行ってたんですね。2015年のセレッソVSヴェルディ(東京)の最終節で(セレッソホームの)キンチョウスタジアムのバックスタンドにおったんですけど、最終節って試合後にみんながフィールドを一周するじゃないですか。

平畠:セレモニーでね。

津村:その時に20歳くらいの女の子2人がパーッと前に走っていって、一周してこちらに来る選手一人ひとりの名前を呼び始めたんです。「丸橋さーん!」「山下さーん!」って。

平畠:ハハッ。

津村:それだけならまだあると思うんですけど、さらに「大さーん」ってこれは当時の監督で、まだ呼ぶか!と思ってたらさらにトレーナーさんの名前まで呼び始めて、しまいには「ガンジーさーん!」まで(笑)。

平畠:通訳の方ね。

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