■日本代表は“格差”を覆せるか?

 デ・ブルイネの1億5000万ユーロは、現在の世界全体を見ても3位タイだ。トップはアルゼンチン代表リオネル・メッシと、ブラジル代表ネイマールが並んで1億8000万ユーロであるから、そのレベルの選手を相手にしなければいけないということになる。また、アザールは8位タイ、ルカクは14位タイだ。

 そもそも、日本で1000万ユーロを越えているのが香川のみなのに対し、ベルギーは逆に1000万ユーロ未満が3人のみと、全体的な金額分布は全く別のところにある。香川ですら、ベルギーの23人の中に入れてしまえば下から9番目という市場価値なのが現実だ。

 また、互いに1次リーグ第3戦では多くのメンバーを入れ替えているため、初戦のピッチに立ったスタメン11人同士で比較してみる。そうなると、ベルギーが5億7200万ユーロ、日本が4725万ユーロと、比率で言えばさらに大きな差がつく。日本は前述の岡崎と武藤に加え、400万ユーロの本田圭佑がベンチスタートだったことが多少の影響を与えたといえるのかもしれない。

 そんな10倍の価値のあるベルギーを相手にしなければいけない日本だが、1次リーグでは7000万ユーロのハメス・ロドリゲスを擁するコロンビア、同じく7000万ユーロのサディオ・マネがいるセネガル、そして9000万ユーロのロベルト・レバンドフスキが最前線に構えるポーランドとの同組を勝ち上がってきた。そうした意味では、最初から絶望する必要はない。ただし、チーム全体が持つ評価はここまで対戦した3チームを凌駕する。特定の選手に的を絞れるような相手ではない。

 こうしてみれば日本がベルギーに勝利した時に、世界的にどれほどの衝撃で受け止められるかは想像ができるだろう。すでにポーランド戦のラスト10分の使い方で日本は「ヒール」になっている一面もある。それであれば、悪役上等とばかりに世紀のアップセットで世界中を驚かせたいところだ。