サッカー日本代表の香川真司 (c)朝日新聞社
サッカー日本代表の香川真司 (c)朝日新聞社

■終盤の時間稼ぎの話題より検証すべき「課題」

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 西野朗監督率いる日本代表は、ボルゴグラードでポーランドと対戦して0-1で敗れた。ところが、他会場でコロンビアがセネガルを1-0と破り、セネガルと勝ち点、得失点差で並んだため、今大会から採用された「フェアプレーポイント(警告、退場の数でポイント化して、低い方が優先的に勝ち上がる)」により決勝トーナメント進出を決めた。

 終盤の時間稼ぎに話題は集中するが、コロンビア戦、セネガル戦からスタメン6人を入れ替え、フォーメーションも4-4-2にして臨んだメンバーのパフォーマンスのどこに課題が出たのかは、あまり熱心に語られない状況だ。例えば岡崎慎司、武藤嘉紀とFWを2人配置することで、サイドや後方からシンプルにボールを運んでゴール前で味方2トップを生かす形はスピードに問題のあるポーランドディフェンスには効果的だった。

 ただ、やはり中盤からボールをつないでアタッキングサードで相手を崩す形はほぼなくなり、良くも悪くも攻撃が大味になるという問題はあった。特にボランチの柴崎岳が直接サイドハーフやFWにつけるボールが多くなるため、相手ディフェンスに揺さぶりをかけられず、半ば強引にポイント、ポイントで合わせるパスか、セカンドボールありきのアバウトなロングボールを増やさざるを得なかった。こうなるとパスコースが少なくなって相手に読まれやすくなるため、あえて苦しいところを狙った柴崎のパスがカットされるシーンもコロンビア戦、セネガル戦より目立った。

 そうした攻撃が続くことで、攻撃面におけるFWの運動量が増え、後半に苦しむ状況は目に見えていた。そもそもスタメンが6人代わること自体、ピッチ上に大きな変化が起こる要因となる。ただ、やはり日本の特徴を考えると全体的な距離が遠くなりやすい2トップよりも、トップ下を擁する4-2-3-1の方が攻撃はスムーズになりやすい。そうしたポジションバランスの面で、改めて重要性を感じさせたのが香川真司の存在だ。

 コロンビア戦での香川は、味方のクリアボールをワンタッチで前方に蹴り込み、それを拾った大迫勇也のシュートがGKにセーブされた跳ね返りをシュートして相手がハンドを犯して得たPKを自ら決め、自身ワールドカップ初ゴールを記録した。続くセネガル戦ではゴールやアシストこそなかったが、トップ下の位置から相手ゴール手前に顔を出し、そこから“ハーフスペース”と呼ばれるアウトサイドと中央の間に生じるスペースに侵入して味方のパスを引き出した。

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チームの潤滑油となった香川真司