元サッカーマガジン編集長の北條聡氏は、今回の“影のMVP”は川島永嗣だという。

「川島は2つの決定機を見事に防ぎ、傷口を広げなかったことで、結果的に0−1のまま試合を終わらせる戦い方を実行することができた。ただ、失点した場面で相手選手をフリーにしたセットプレーの対応はまずい。無論、決勝トーナメント1回戦に向けて改善が必須だ。致命傷になりかねない」

 3戦を通して日本がここまでの戦い方を繰り広げた理由を、北條氏はこうみている。

「日本の強みを生かす人選、戦い方に徹したことが大きい。その強みとは、自分たちでボールを動かす攻撃と、全員が連動する組織的な守備です。また、サブを含め、チーム全体が一丸となって戦う雰囲気を作り出したこと。とくに控えでも切り札としても活躍した本田は好例だ」
 
 ただ、複数のスポーツ紙に先発メンバーを事前にすっぱ抜かれるなど情報漏えいの不安もある。さらにキーパーの川島はビッグセープを見せたものの、「その前のポジショニングがあまり良くなかった」と上野氏は指摘する。

「先のことを見据え、2022年W杯を考えた時、途中交代でも大島僚太を出して、経験を積ませるべきだったのではないでしょうか。歓喜の大会の次は悲劇。日本代表はこの連鎖を断ちたいです」(上野氏)

 西野監督は果たしてその博打の狙い通り、日本代表を初のベスト8入りに導けるのか。

(AERAdot.編集部 井上和典、森下香枝)