ポーランドに負けるも日本の決勝トーナメントが決まり、喜ぶサポーターたち。東京タワー近くの会場(撮影・福井しほ)
ポーランドに負けるも日本の決勝トーナメントが決まり、喜ぶサポーターたち。東京タワー近くの会場(撮影・福井しほ)

東京・渋谷駅前のスクランブル交差点付近。深夜2時にもかかわらず、グループリーグ突破に盛り上がっていた(撮影・井上和典)
東京・渋谷駅前のスクランブル交差点付近。深夜2時にもかかわらず、グループリーグ突破に盛り上がっていた(撮影・井上和典)

 日本時間28日23時から始まったW杯ロシア大会第3戦のポーランド戦。0−1で日本はポーランドに敗れたが、同時間帯に行われたセネガル対コロンビアでセネガルが敗れ、勝ち点と総得点などで並んだセネガルと警告数の差で日本が決勝トーナメント進出を果たした。

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 心の底から喜べるグループリーグ突破ではなかった。だが、これこそが“勝負”だった。後半35分をすぎると、途中交代でピッチに入った長谷部誠を中心に、ディフェンス陣でパスを回す戦術に切り替えた。失点と警告を受けるリスクを減らすための苦渋の選択をしたのだ。コロンビアに1点を奪われたセネガルの動向を把握しながら、落ち着いてパスを回し続けるサムライブルー。日本の敵は眼前のポーランドではなく、別会場のセネガルになった瞬間だった。

 負けているにもかかわらずパスを回し続ける日本に、会場から激しいブーイングが起こった。しかし、西野ジャパンは「勝ち上がる」ための戦略を貫いた。

「チームとしても選手としても本意ではない」

 試合直後のインタビューでそう語った西野朗監督の表情に笑顔はない。決勝トーナメント進出を決めたとは思えない神妙な面持ちだったが、勝負師として“結果”にこだわった。

 スポーツジャーナリストの上野直彦氏はこう解説する。

「ベスト8を狙った博打を西野監督は2回、うちました。一度目はメンバー6人を入れ替えたこと。これは次の試合(対ベルギー)のために大迫、乾らを温存するためとされますが、結果として柴崎1人では機能しないことが露呈した。柴崎の縦パスを生かすには、長谷部、大迫、乾、原口らが揃わなければ、難しい。二度目の博打は最後、長谷部を入れてからただひたすら、ボールを回したこと。どんなにファンやサポーターから批判を浴びてもファールと失点をしないための戦術を貫いた。結果的にこれが功を奏した」

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セットプレーが致命傷になりかねない