日本ハム・栗山監督 (c)朝日新聞社
日本ハム・栗山監督 (c)朝日新聞社

 今月16日、楽天の梨田昌孝監督が辞任を発表した。開幕からチームが低迷を続け、負け越しが20となったことで決断したと言われている。チームが勝てば称賛され、負ければ責任を取るというのがプロの監督ということを改めて思い知らされる出来事だった。

 かつては“マジック"と呼ばれる采配で3球団を優勝に導いた三原脩、南海の黄金時代を築き“親分"の愛称で呼ばれた鶴岡一人、不滅の巨人のV9を達成した川上哲治などが名監督と呼ばれたが、時代の変化とともに長期政権は減り、監督のカラーは見えづらくなっている。しかしそんな中でも当然、監督がチームに与える影響は小さいものではなく、昨年最下位に沈んだロッテヤクルトは新監督を迎えて成績が向上している。そこで今回は近年、結果を残している監督の特徴、傾向についてまとめてみたいと思う。

 まず過去10年間で優勝を果たした監督をまとめてみると下記の通りとなった。

【セ・リーグ】
原辰徳(巨人):5回(日本一2回)
落合博満(中日):2回
緒方孝市(広島):2回
真中満(ヤクルト):1回

【パ・リーグ】
秋山幸二(ソフトバンク):3回(日本一2回)
栗山英樹(日本ハム):2回(日本一1回)
工藤公康(ソフトバンク)2回(日本一2回)
渡辺久信(西武):1回(日本一1回)
梨田昌孝(日本ハム):1回
星野仙一(楽天):1回(日本一1回)

 これ以外では2010年にロッテの西村徳文監督がレギュラーシーズンは3位ながらクライマックスシリーズを勝ち抜き、日本一に輝いている。この中でまず際立っているのはやはり原監督だろう。通算12年間の監督生活でリーグ優勝7回、日本一3回を誇り、Bクラスに転落したのはわずかに1回。巨大な資金力があるから結果を残して当然という意見もあるかもしれないが、前後に監督を務めた長嶋茂雄(通算15年・優勝5回・日本一2回)、堀内恒夫(通算2年・優勝0回)、高橋由伸(通算2年・優勝0回)と比べても優れた成績を残しているのは明らかであり、それは原の手腕によるところが大きい。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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若手を抜擢した巨人・原監督