西野ジャパンに欠かせぬ戦力となった柴崎岳 (撮影・六川則夫)
西野ジャパンに欠かせぬ戦力となった柴崎岳 (撮影・六川則夫)

「(長友)佑都さんがいい飛び出しをしてくれたので。あっちのサイドバックがあんまりいい対応をしていなかったので、そこはうまく使えたなと思います」

 そう柴崎岳が振り返るのは前半34分の同点ゴールの起点になったシーンだ。その2分前に昌子源の持ち上がりから大迫勇也が落とし、原口元気が右サイドで仕掛けたこともあり、セネガルのディフェンスが同サイドに引っ張られていた。タイミングよく長友が左サイドのスペースを駆け上がると、自陣の引いた位置から柴崎がロングパスを出す。

 トップスピードで駆け上がった長友のトラップは内側に大きく転がったが、ちょうどインサイドから寄せてきたムッサ・ワゲの逆を取る形で前に出てきていた乾貴士にボールが渡り、そこからゴール右隅にシュートが決まった。柴崎が語る。

「基本的にはしっかりとつなぎながら連携を取りながらというイメージをしていたのですが、予想以上にあまり裏への配球への対応が良くなかったので、そこはロングボールも織り交ぜながらと切り替えた部分は個人的にはあります」

 4-3-3で高い位置からプレッシャーをかけるセネガルに対して、中盤でショートパスをつなぐことに苦しみ、浅めの位置でボールを奪われ、そこから仕掛ける相手のドリブルを織り交ぜた攻撃で、日本の守備は自陣に引っ張り込まれた。

 そうした状況で柴崎、あるいはボランチの相棒である長谷部誠が最終ラインの中央に下がりボールを回そうとしたが、セネガルはパパ・エンディアエが2トップ気味の位置まで上がり、前からプレッシャーをかけてきた。その状況で柴崎はロングボールを活用する選択を取ったのだ。

「さらに良くできるところは、僕とディフェンスライン、相手が前からきた中での僕らがどういい連携で受けるかはまだまだ改善の余地があるかなとは思っている。(セネガル戦は)それができなかったから、多少ロングボールに逃げる部分があったかなと分析はしている。それは今の力ではできなかった」

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臨機応変さが柴崎の強みだ