これは、新潟や沖縄に限った話ではない。どんなに失点が続いても安倍政権が持ちこたえる現状に対して、「マスコミが悪い」とか「自民党が嘘をつくからだ」と嘆くのではなく、新潟県知事選に敗北した今こそ、野党は、敵失批判とただのバラマキ公約から脱して、自民との「違いがわかる」経済政策こそを「戦略的に」語るべきではないのか。

 もちろん、原発についても、拘束力のない脱原発基本法案を出しましたなどというアリバイ作りではなく、明確に「再稼働は絶対にさせない。すべての原発は廃炉に追い込む」ことを明確にした実体法を提案してほしい。そして、その政策を信じてもらうためには、連合との関係など、しがらみは、明確に断ち切ったという姿勢を示すことも重要だ。

 どん底にあるのは安倍政権だけではない。野党の方こそどん底にある。その危機感を持つこと、それが最初の一歩になるのだと思う。(文/古賀茂明

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古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

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