自公が推す花角候補は、子育て、福祉などの公約も掲げていたが、「日本海縦断新幹線の整備」など、古びた感はあるが、経済面で夢を見させるような公約を派手に打ち出していた。しかし、池田候補には、それに対抗する明確な数字を伴うような公約がなかった。その差が3万7千票の差となったのではないだろうか。

■沖縄は新潟の二の舞いとなるのか

 新潟県知事選を終えて、非常に心配していることがある。それは今年11月に実施される予定の沖縄の那覇市長選と沖縄県知事選も新潟と同じ構図となり、与党候補が勝利を収めるのではないかということだ。
反基地を掲げて前回選挙で自民候補に勝利した翁長雄志現沖縄県知事だが、すい臓がんを患い、復帰はしたものの、次の選挙に出られるかどうかはわからない。

 しかも、知事を支える連合体の「オール沖縄」から経済人が次々と離脱するという危機的事態に立ち至っている。その象徴が「かりゆし」グループと「金秀」グループの脱会だ。実は、沖縄でも、常に、基地反対と経済振興という二つの課題が二律背反のテーマとして取り上げられてきたのだが、近年は、県内のホテル、建設大手のツートップがこぞって「基地のない沖縄の方が経済発展できる」と主張したことで、経済界や一般庶民は反基地と経済発展が両立できると安心し、翁長知事や反基地候補に票を投じやすくなったという側面があった。

 もし、このまま、経済界が「オール沖縄」から離れていけば、沖縄県知事選は新潟県知事選と同じ構図になり、結果も同じになる可能性は極めて高いのではないだろうか。野党の経済政策への不信が根強い状況を考えれば、自民党がついて来れない、本気の規制緩和など既得権と闘う政策を打ち出せるかどうか。例えば、今回、安倍政権の骨太方針でも途中で落とされた、米国のウーバーや中国の滴滴出行などが展開するライドシェアの解禁。日本は大きく立ち遅れ、海外観光客も不満を高めているこの分野で、本土に先駆けてこれを解禁することなど、自民党ができない成長戦略を打ち出すべきではないだろうか。ただのバラマキでは、すぐに自民党にパクられて、また、「抱き付き作戦にやられた」と言い訳をしなければならなくなるだろう。

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