コロンビア戦でファルカオと競り合う昌子源 (c)朝日新聞社
コロンビア戦でファルカオと競り合う昌子源 (c)朝日新聞社

 コロンビア側から日本戦を見てみると、開始早々に1点ビハインドのうえに10人という展開はもちろん予想外だったろうが、日本のプレスの速さも想定外だったと思う。

 コロンビアのビルドアップは立ち位置をほとんど動かさない。いわゆるポジショナル・プレーは使っておらず、4-2-3-1(10人になってからは4-4-1)の立ち位置のままボールを動かす。そのため、左サイドバック(ホアン・モヒカ)が保持したときの次のパスはタッチライン際にいる左サイドハーフ(ホセ・イスキエルド)か中央のMF(ジェフェルソン・レルマまたはフアン・キンテーロ)になるのだが、日本に素早くそこを抑えられてパスの出しどころを失っている。

 とくに原口元気の「二度追い」は強烈で、モヒカとイスキエルドの左の縦ラインは、原口、酒井宏樹、柴崎岳、香川真司の4人によって封鎖されてしまっていた。それ以外にも日本のプレスバックにボールを失うケースが続出していて、これは退場者が出なくてもそれほど変わらなかったと思われる。

 15分、香川が1人抜いて右から中央へ切り込み乾貴士にパス、乾のシュートは外れたが、この日本の攻撃はホセ・ペケルマン監督にショックを与えたに違いない。10人になったことでトップ下からボランチへポジションを下げていたキンテーロがボールを奪われたところから日本の攻撃は始まっていた。

 決定的なパスを出す能力において、ハメス・ロドリゲス以上の能力を持つキンテーロだが、香川と柴崎に挟まれてのボールロストは彼をこのポジションに置くリスクを想起させただろう。また、香川のパスをボックス内で受けた乾はフリーだった。対面のフアン・クアドラードのマークは完全に遅れていた。

 キンテーロの中央でのボールロストと、クアドラードの走り負け。ペケルマン監督はこのシーンを見た約15分後に守備の強いウィルマル・バリオスを投入し、キンテーロを右サイドへ、クアドラードを引っ込めた。クアドラードのスピードと突破力は日本にとって脅威になりそうだったが、18分には長友佑都が1対1で止めている。ドリブルを阻止されれば、そのまま裏返しにされてしまう。10人になったので、まず守備を安定させるためのバリオス投入は定石どおりだが、クアドラードかキンテーロかの選択で、よりリスクのないキンテーロを選んだわけだ。

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一発逆転に賭けたコロンビア