この地震で高槻市では小学校のプールの壁に挟まれ、9歳女児が死亡した。前出の岡村氏はこういう。

「新しい耐震基準は法律施行以降は守られていても、それ以前に作られたものには問題がある。今回の事故の原因となったプールの壁も、現在は軽いアルミのものが市販されているので、学校はきちんと整備しなければならない。アルミであれば、地震が来ても倒れにくいし、万が一折れ曲がっても大事故につながる可能性は低い」

 また壁が崩れ、東淀川区の80歳の男性ら2人も死亡が確認されたが、岡村氏はこう注意を呼びかける。

「壁の中に入っている鉄筋は、15年程度で錆びて老朽化する。今回のものがどういったものだったかは警察の検証を待たないとわからないが、学校などの施設の危険なインフラは見直さなければならない。学校は、校舎自体は耐震工事が進んだが、倒壊しやすいインフラが周辺にたくさん残っている。その意味で、今回の地震は大きな警告を与えた」

 1978年の宮城県沖地震では、夕方の登下校時の地震発生だったため、死者28人のうちブロック塀や石の門柱などの下敷きになって圧死した犠牲者が18人も出た。

「その後、法律が改正して新しく建設されたものはブロック塀が作られていないが、それまでに作られていたものがいまだに多く、残っていることが問題。プールの壁は、地震の揺れと共振して、バラバラにならずにすべてが倒れてくることがある。とても危険なインフラで、特に子供が通う学校の周辺からは早く撤去する必要がある」

 今回の地震を教訓に、古い建物や施設の安全性を再確認することが急務だ。(AERA dot.編集部/西岡千史)