――今は抗がん剤治療中で、髪もウィッグなんですよね。

 最初、手術の結果が出ないと抗がん剤をするかどうかも分からなかったんです。もしかしたらホルモン治療や放射線治療もできるのかなって思ったけど、抗がん剤をしたほうが良いっていうのが分かった。強いお薬なので、脱毛してしまうというのもショックだったんですけど、「髪の毛がなくなるってあんまりないな」って。なかなか経験できないことだし、鏡で見て「こんな感じなんだ!」って改めて感じれたし、それも楽しい方向に変えたいです。「人間ってこんな風になるんだ!」ってびっくり。

 抗がん剤をすると全身の毛がなくなっちゃうと言われているんですけど、私は眉毛とまつ毛がまだ残っているんです。そこだけ助かってますね。髪はもう0.5くらいしかないんですけど(笑)。今は治療中の方に向けてウィッグを作っているお店があったり、意外と乳がん病気をされている方への医療グッズも色々あるんです。探せば不便な感じでもないのかなと思うようになってきました。

――ずっとショートヘアのイメージだったので、今日はロングで驚きました。

 そうなんです! ロングは絡まったり、暑いので大変です。今までイメージもあってあんまりロングはできなかったので、今、楽しもうって。

■「乳がんでした」ってお母さんにLINEしたら、返事はスタンプが一個

――告知を受けて、最初に報告したのはご家族ですか?

 親ですね。「こういう結果が出るかもしれない」っていうのは前々から言っていて、告知をいただいたときもLINEで「乳がんでした」って伝えました。そうしたら、スタンプが一個だけ返ってきました(笑)。見せたいけど、スマホ変えちゃったからLINEが残ってないや。ぶさいくなおじさんがジュースを吸って、「ちゅー」ってしてるスタンプです(笑)。お母さんは過保護なんですけど、私に対して直接「大丈夫?」、「無理しないで」とかはあまり送ってこない。でも、すごく心配してくれています。お母さんのそういうところが私にはすごく助かっていて、安心できる母親です。

 初めて抗がん剤をしたときは4日間くらい寝たきりで、今までにないぐらい具合が悪い状態でした。次の日、お母さんが仕事に出かける前に「無理しないでいいから」ってLINEしてくれたり、私の仕事についても「休めるときに休んで」、「何も考えなくていいから、長くなるけど頑張ろうね」っていうのは送ってくれたり。

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「全摘」を決めた理由