そんな状況下で、今後にはさまざまな流れが考えられる。交渉が難航しているとされるカネロ戦がなくなり、ゴロフキンは代わりにデレビャンチェンコ戦、村田戦に進むか。あるいはデレビャンチェンコ戦を先送りにする特例をIBFから取り付けた上で、9月にカネロ、12月にデレビャンチェンコ、来年3月に村田戦というハード路線を歩むか。もしくはカネロ戦が流れた上で、IBF王座も剥奪され、村田戦に向けて一気に視界が開けるという意外な展開になるか。それとも他のビッグファイトが優先され、村田の出番は先送りにされるか。

 オプションが多いゆえに断言するのは難しいが、ゴロフキンが統一戦路線にこだわった場合にはスケジュール的に村田がチャンスを得る可能性は下がるのだろう。だとすれば、IBFから王座を剥奪された方がゴロフキン来日の公算が大きくなると考えることもできる。

 ともあれ、はっきりしているのは、まだ障害はあれど、日本史上最大の一戦はもはや単なる夢物語ではないということ。今のゴロフキンにとって、村田戦はもう現実的な選択肢の1つである。

 そういった現状の中で、村田がまずやるべきは10月にラスベガスで予定する2度目の防衛戦を好内容で勝つこと。それを果たせば商品価値は上がり、ゴロフキン戦の機運も日米両方で高まっていく。いずれにしても、これから約1年が村田にとって極めて重要な時間になることは間違いない。(文・杉浦大介)