村田諒太、ゴロフキンとの“夢対決”実現なるか (c)朝日新聞社
村田諒太、ゴロフキンとの“夢対決”実現なるか (c)朝日新聞社

「それほど遠からずうちに実現しそうだよ(I think it's gonna happen in a relatively short period of time )」

 5月10日、世界最高級のプロモーター、トップランク社のボブ・アラムにあるビッグファイトについて聞くと、躊躇いもなくそんな答えが返ってきた。

「時期は来年2月か3月ですか?」と続けると、「まさにその通りだ」。ボクシングのプロモーターの大言壮語は珍しいことではなく、アラムは特にメディアを利用して話を大きくしようとする傾向がある。ただ、状況的に、今回のアラムの言葉にはリアリティーがある。

 ここで言及しているのは、ゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)対 村田諒太(帝拳)という世界ミドル級統一タイトル戦の話である。ゴロフキンはWBA、WBC、IBFという3つの団体の王者であり、38戦全勝(34KO)1分という現役最高級のパワーパンチャー。全階級を通じても屈指の実力者と見られる怪物王者にWBA正規王者の村田が挑むとすれば、文字通り歴史的な一戦となる。複数の関係者の証言も含めて総合すると、日本ボクシング史上最大のイベントはどうも実際に手が届く位置にあるようだ。

「ゴロフキン対 村田戦を東京ドームで開催したい」

 昨秋、今春と村田のアメリカでのプロモーターであるアラムがそう語った時点では荒唐無稽な話と感じたファンも多かったはずだ。しかし、ゴロフキン陣営は1990年のマイク・タイソン(アメリカ)以来となる東京ドームのメインイベンター役に魅力を感じているという。また、帝拳ジムの本田明彦会長は5月上旬の時点で「約10億円のマネーを用意できる」と筆者に明言しており、最も懸念されている資金の部分も問題ではなさそうだ。

 アメリカのボクシング界もテレビ次第のところがあり、ゴロフキンはHBOと密接な関係を築き、村田を擁するトップランクはESPNと契約していることはネックになりかねない。ただ、この点もどうやら致命的な要因にはならない様子。普段は頑固なアラムも「どのチャンネルでも構わない。ESPNがやる気ならそうするし、他でも構わない。テレビ局の件は障害にはならないよ」と述べていた。

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夢の対決が実現する可能性は高い?