そんな思いもあって、我々主夫の友の活動はすべてが大人向けということではない。日本大学や筑波大学で大学生向けに講義をさせてもらうことも年に数回あるのだ。1人暮らしがぐっと増えて家事に直面することが増える、そして恋愛も、ほんの少しだけ結婚への道筋が見えたりするこのタイミングこそ、家事や結婚の話が伝わりやすいと思っているのだ。しかし、もっと早い段階で、家事に特化した講義を行っているメンバーがいる。

 粂井龍三くん、17歳。この4月に高校3年生になった彼は主夫の友の最年少メンバーである(主夫の友は別に主夫でなくても、男性の家事育児参画を応援する人なら入れます)。もともと彼の母親と僕らが知り合いだったこともあり、それこそ彼が小学生くらいのころから話は聞いていた。そんな彼が最近になって小中学生向けに家事セミナーを始めた。そこにはどんな思いがあるのだろう。

「きっかけになったのは高校の家庭科の授業で行われたアンケートでした。洗濯機に触れたことがない、ご飯を炊くことができない、という同級生がクラスの3分の1くらいいたんです。もう本当にびっくりしました。これから、みんなもいつかは親元を離れるのに大丈夫なんだろうか?と考えて、そういう時に苦労しないように自分よりももう少し年下の後輩たちに家事の仕方を伝えることをしたいと考えたんです」

 そうして昨年11月にスタートした小中学生向けの家事講座の名前は“粂井塾”。月に2~3回、自宅の自室に小中学生を招いて、一緒に掃除や片づけをしながら、家事のやり方や考え方を伝えていくというスタイルだ。テーマも「中学生男子限定 家事&お片付け講座」「小学生親子向け家事の達人講座・片付け編」などと趣向を凝らし、フェイスブックで告知して参加者を募っている。それにしてもどういう家庭環境で育ったらこんな考え方になるのだろうか。

■家事で「人のために動くのが当たり前になる」

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家事と学問の両立