こうした地方と中央の乖離の妥協の産物が、自民党と公明党による「公認」でもなく、「推薦」でもない、「支持」という一番弱い形式での支援決定だ。その決定の裏には、公明党が創価学会を動かすためには、ただの無所属のままでは難しいという事情も加わったようだ。


 これで、実質は自公丸抱え、二階派の候補が、表向きは無所属で県民党を装い、自公の支持を受けるという形の選挙戦が始まったのである。なんともまあ姑息な話ではないか。

■「脱原発抱き付き作戦」の姑息

 花角陣営の姑息な選挙戦でもう一つ特筆すべきなのが、「脱原発抱き付き作戦」だ。前回と同様、今回の知事選でも、「柏崎刈羽原発の再稼働問題」は大きなテーマだ。新潟県では、保守層にも脱原発支持が多い。したがって、「脱原発」と信じてもらえば有利になる。

 花角氏は、バリバリの原発推進派の安倍自民党の支持を受けるのだから、普通の人は、「この人は原発推進だ」と考える。ところが、花角陣営は、これを「そうではない」と完全否定し、あろうことか、いかにも脱原発派であるかのように装う作戦に出た。少し詳しく見てみよう。

 まず、脱原発で先行したのは、当然のことながら、市民連合が支援する池田千賀子氏だ。そのホームページを見ると、こう書いてある。

 ― 原発事故等に関する3つの検証を厳格に進め、県民の皆さんと結果を共有し、丁寧に議論します。できるだけ早急に原発ゼロへと向かうよう、新潟としての責任を果たすとともに、原発停止後の新潟の産業・社会政策を検討するための新たな会議を設置します。―

 「検証」を「厳格に」進めるとして、簡単には再稼働させないという趣旨を明確に打ち出すとともに、一歩踏み込んで、原発を止めた後の議論を早くも始めることを宣言した。ここまでくれば、明らかな脱原発宣言である。

 池田氏が脱原発候補としての地位を確立すると選挙が苦しくなると考えた花角陣営は、ホームページでこう打ち出した。

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