ヤクルトのバレンティンも“元マリナーズ” (c)朝日新聞社
ヤクルトのバレンティンも“元マリナーズ” (c)朝日新聞社

 マリナーズから移籍した選手はよく活躍する。イチロー選手がマリナーズで活躍していた2000年代からメジャーリーグを見ていたファンには聞き覚えのあるフレーズではないだろうか。

 もちろんチーム編成上、若手有望株でもポジションが空かないためチャンスを与えられなかったり、実績ある選手をトレードで獲得するための交換要員とせざるをえなかったりといった事情も起こり得るため、マリナーズのフロントに落ち度があったとは一概に言えない。そもそも当時はマリナーズの話題が日本ではもっとも目についたため失敗した際の印象が強くなりがちだったということもあるだろう。だがそういったことを加味しても、マリナーズの補強策が裏目に出たことが多かったのもまた事実だ。

 その好例のひとりがカルロス・ギーエン内野手。マリナーズでは2001年から正遊撃手の座をつかんだものの、当初は攻守ともに目立った活躍はなかった。そこでマリナーズは2004年1月に彼をタイガースへトレード。するとギーエンはこの年に打率.318、20本塁打、97打点、12盗塁とキャリアハイの活躍をするブレークを果たし、オールスターに選出された。以降もタイガースでオールスターに2回選出されるなど、リーグを代表する強打の遊撃手として名を馳せたのだった。ちなみに彼の交換相手の1人だったラモン・サンティアゴ内野手はマリナーズでの2年間で27試合の出場のみと、全く戦力にならなかった。

 2001年にマリナーズでメジャーデビューしたものの2年間で19試合しか出場できなかったスコット・ポドセドニク外野手も、2003年にブリュワーズへ移籍したとたんにレギュラー定着。2004年には70盗塁でタイトルを獲得し、通算309盗塁を記録した。

 韓国人メジャーリーガーとして2005年にマリナーズでデビューした秋信守も、2006年途中にインディアンスへトレードされるまでの出場試合数は14試合のみ。だが新天地で打撃開花した秋信守は打率3割、20本塁打、20盗塁を2009年から2年連続でクリアする成長を見せ、現在もレンジャーズで主力としてプレーするなど息の長い活躍を続けている。

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ことごとく失敗する大型補強