『鈴傳』。立ち呑みは左のドアから
『鈴傳』。立ち呑みは左のドアから
『ニューカヤバ』。店自体はちょっとわかりづらい。提灯が目印
『ニューカヤバ』。店自体はちょっとわかりづらい。提灯が目印
『立呑屋 佐々木』の1階の看板。店舗は2F
『立呑屋 佐々木』の1階の看板。店舗は2F

 新しい店も次々にオープンし、女性も気軽に入店するようになってきた“立ち呑み屋”。普通の居酒屋から椅子がなくなっただけ、という店もあるが、老舗やこだわりの店には、立ち呑み屋ならではのルールがある。

【立呑の名店3店を写真で紹介!】

 江戸時代創業の老舗『鈴傳』、立ち呑み屋としては1964年創業のベテラン『ニューカヤバ』、2周年を迎えた若い店『立呑屋 佐々木』の3店に立ち呑み屋における作法について聞いてみた。

*  *  *

 立ち呑み屋で大切なのは、お金の支払い方だ。お店によって異なるが、老舗やもともとが酒屋だった立ち呑み屋はキャッシュオンデリバリーが基本だ。

 最初に紹介する『立呑屋 佐々木』は、飲食店店長の経験がある佐々木雄基さんが2年半の会社員時代を経て、2016年に満を持してオープン。150円~300円のつまみは佐々木さん創作のものが多い。飲み物はビール、日本酒、焼酎、ウイスキーに種類豊富なサワー類が揃う。

『佐々木』はトレイにある程度のお金を置いておくキャッシュオンスタイル。なるべく小銭を用意していくのが作法だが、“両替は絶対お断り”というわけではない。たまたま万札しかなかった場合は両替してくれるのだが、「うちでは1万円は8千円の両替になります。もしくは1万円すべて呑んでいただくか」と言われる。もちろん冗談だ。普通に両替してもらえるのでご安心を。佐々木さんのこのジャブにうまく対応してほしい。ただし、「オープンした早い時間の両替や、いかにも当然のように“両替して”と言われるのはちょっと困りますね」(佐々木さん)とのこと。

 続く『ニューカヤバ』はもともと酒屋で、3代目が店の横で立ち呑みをはじめた。そのころはまだ『カヤバ』だったという。そこが狭くなってきたので現在の場所へ移転し、『ニューカヤバ』となったのが1964年。現在お店は3代目の娘さんである服部容子さんと母の山本典子さんが切り盛りをしている。さまざまなつまみがカウンターに並べられ、酒のほとんどはコインを入れるとコップに注がれる酒販機で買うセルフ立ち呑みのタイプ。焼き鳥も客自身が炭火で焼く。基本的に女性客はお断りしている。『ニューカヤバ』は100円を入れる酒販機が並んでいる立ち呑み屋なので、「たくさん呑んでいただくために小銭は用意しているので両替も大丈夫です」(服部さん)。

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