そして、「おかわり君」こと中村剛也だ。大阪桐蔭高時代から強打で鳴らし、高校通算83本塁打をマーク。2001年のドラフト2巡目で西武に入団すると、4年目の05年に22本塁打を放ってブレイクした。その後は一時停滞したが、08年に46本塁打、09年には48本塁打を放って2年連続の本塁打王に輝くと、以降も数々のアーチを架け、昨季まで本塁打王6回、打点王3回に輝き、プロ通算357本塁打を放っている。身長175センチ、体重102キロ。巨漢(ぽっちゃり)型の中で最も成功した選手と言えるだろう。

 脚光を浴びた彼らとは反対に、苦しんだ巨漢(ぽっちゃり)たちもいる。その代表格が、身長175センチ、体重105キロのスラッガー、矢作光一である。立教大時代に東京六大学リーグ歴代7位タイの通算17本塁打を放ち、長嶋一茂とクリーンナップを組んだ逸材。88年のドラフト6位で日本ハムに指名され、直後のインタビューでハムにかぶりつくパフォーマンスを見せたというが、入団後は期待された長打力を発揮できず、在籍4年で33試合出場、打率.167の本塁打0本でユニフォームを脱いだ。

 同じく、09年のドラフト3位で中日に入団した中田亮二もプロの壁にぶつかった。明徳義塾高時代に甲子園を沸かせ、身長171センチ、体重107キロで「ブーちゃん」のニックネームとともに成長が期待されたが、在籍5年で80試合出場、打率.202の本塁打0本。プロ1年目には日本シリーズでヒットを放ったが、その後は故障に泣いてプロ初アーチを放つことはできなかった。

 成功か失敗か――。その間にいるのが、ロッテの「アジャ」こと井上晴哉だろうか。身長180センチ、体重114キロの巨体を生かしたパワーあふれるスイングで、プロ1年目のオープン戦で首位打者となって開幕4番に座ったが、開幕後は一線級投手の攻めに対応できず、1年目は36試合で打率.211、2本塁打、7打点。飛躍が期待された2年目以降も結果を残せずに、昨季までの4年で111試合出場も打率.223で4本塁打のみ。だが、今季は24日終了時点で42試合に出場し、打率こそ.232と物足りないものの、5本塁打、28打点とすでに自己最高を更新している。

 山川に続いて井上も覚醒すれば、パ・リーグの野球はさらに盛り上がる。ぽっちゃり型の肉体には、常人離れしたパワーと魅力がタップリ詰まっている。