広島・鈴木誠也 (c)朝日新聞社
広島・鈴木誠也 (c)朝日新聞社

 球団初のリーグ3連覇を目指す広島。開幕4連勝スタートの後、4月中旬まではなかなか貯金を増やせなかったが、4月24日からの5連勝で首位に立つと、5月は雨天中止3試合と天候に行く手を阻まれながらも5月20日時点で8勝4敗1分けと貯金を4つ増やし、今季通算では40試合で25勝14敗1分けの勝率.641。2位に4.5ゲーム差をつけて首位を“快走”している。

 2016年が勝率.631(89勝52敗2分け)、2017年が勝率.633(88勝51敗4分け)であったことからも、勝率だけを見ると今季も順風満帆のように見える。だが、その内情は過去2年と大きく異なっている。

 リーグ断トツだったチーム打率(2016年:打率.272、2017年:打率.273)が今季はここまで打率.254と下がり、チーム防御率(2016年:防御率3.20、2017年:防御率3.39)も今季は防御率3.49と悪化。チーム伝統の“足攻”も、2016年(118盗塁)、2017年(112盗塁)は、ともにリーグ断トツ1位だったが、今季はここまで25盗塁でシーズン換算89盗塁と過去2年に及ばない。

 それでも勝てている、というところをプラスに考えることもできるが、まだ自分たちの野球をできてはおらず、一つ歯車が狂えば“混セ”の波に飲み込まれる可能性が大いにある。

 選手個々に目を向けた場合、まず心配なのが野村祐輔の状態だ。2016年に16勝、2017年に9勝を挙げ、2年連続で防御率2点台の数字を残したエース右腕だが、今季は登板5試合すべてで3失点以上を喫して2勝1敗、防御率5.59とピリッとしないまま、背中の張りを訴えて4月27日に登録抹消となっている。

 加えて、昨季リーグ2位の15勝を挙げた薮田和樹もオープン戦から制球難に苦しみ、野村とともに5月1日から2軍暮らし。2016年に沢村賞を受賞したジョンソンは徐々に調子を上げてきたが、8試合で3勝2敗、防御率3.53とまだまだ物足りない。

 現状、大瀬良大地(6勝2敗、防御率2.22)、岡田明丈(4勝1敗、防御率3.15)の頑張りと中村祐太(3勝1敗、防御率4.26)の成長で勝利を積み重ねているが、チームの軸となる投手、絶対的エースと言える存在がいない。支柱がいないローテ陣は崩れ始めると一気に共倒れする危険性がある。特に大瀬良がコケた時が恐ろしい。

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対抗馬となりそうなチームは?