問題は4月に足首を負傷し、所属クラブのレスターでラスト5試合に出場できなかったこと。西野監督が、14日に登録締め切りとなった35人のリストに入れていることはほぼ間違いないが、同じくケガ明けの香川真司などとともにガーナ戦に向けた国内合宿に招集して、状態をチェックして最終メンバーに入れるべきかを見極めるはずだ。

 前体制で岡崎と似た境遇にありながら、現在、より良好なコンディションにあるのが武藤嘉紀だ。4大リーグに所属する日本人選手では最多の8得点を記録している武藤。所属するマインツについて「多くの得点チャンスがあるチームではない」と主張しており、実際に前線で孤立する時間帯も多かった中で立派な数字だ。彼も1トップで大迫に近い仕事はできるが、2トップでフィニッシュの引き出しが増えれば、得点力を発揮しそうな選手ではある。

 他にFWの有力候補として名前が挙がるのは小林悠、杉本健勇、興梠慎三、川又堅碁、金崎夢生といったJリーグを代表するFWたちで、さらに前体制では主に右サイドで起用された久保裕也や浅野拓磨、原口とともにデュッセルドルフのブンデスリーガ2部優勝に貢献した宇佐美貴史も2トップなら中央で有力候補になり得る。

 一方、そうした実績組に割って入るポテンシャルを秘めるのが堂安律だ。昨夏にガンバ大阪からオランダ・フローニンゲンに渡った19歳は、右サイドからの鋭いカットインとミドルシュート、味方とのワンツーを駆使した飛び出しなどで、エールディビジでプレーする20歳以下の選手としては2番目に多い9得点を記録した。

 1位のクラース・ヤン・クライファート(10得点)が所属するアヤックスはリーグ最多の89得点を記録しており、フローニンゲンは50得点という事情も考えれば、堂安がいかに高い得点センスを発揮したかが分かる。得意の左足を存分に生かすにはクラブと同じ右サイドが適しているが、ガンバ大阪時代は2トップでプレーしており、十分に適応は可能だ。大迫のようなポストプレーヤーとの組み合わせが基本となるが、憧れの先輩でもある宇佐美との2トップなどはまさに西野監督が求める“化学反応”を起こし得るコンビだ。

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もう1人の候補は…