12月31日に初めて会って、1月には手紙が届きました。「ロスに行くけれど、真由子とドームで会えたおかげで忘れていたことを思い出させてくれてありがとう」という内容でした。3月4日が誕生日なんですけど、入院していたんです。そのとき、hideさんは海外にいたんですけど、帰国予定を1日早めて病院にお見舞いにきてくれました。

――hideさんはどんな方でしたか?

 気遣いのできる人でした。最初に出会ったとき、打ち上げに行くまで控室で待っていたら「真由子、喉渇いてない?」って聞いてくれて。部屋の隅にクーラーボックスが置いてあったんですけど、hideさんくらいのビッグアーティストだと、スタッフさんにお願いすることも全然おかしくないじゃないですか。でも、全部自分でするんです。烏龍茶を出して、プルタブを開けて、ストローをさして、「はい、真由子」って。自分のゲストに関することは自分でする、というか。スタッフは音楽を作りに来ているから、他の仕事はさせないというスタンスだったのです。

――優しい方だったんですね。

 他にもあって、騒ぎになってしまうからhideさんがお見舞い来てくれていることは主治医の先生と看護師さん以外には伏せていたんです。でもあるとき、一人の男の子が退院後すぐに再入院になってすごく落ち込んでいたんです。それを見た看護師さんが「明日まゆちゃんのところにhideさんが来るから、サイン書いてもらえたらね」って励ましたんですって。そうしたら、それが密かに広まってしまって。全員が色紙を持って、面会室の外に行列ができたんです。12~3人いたんですけど、事情を伝えると全員を一人ずつ面会室に入れて、2ショットで写真を撮って、全員にサインを書いてあげたんです。4時間ほどいてくださって。

――当時、めちゃくちゃ忙しかったのに。

 そうなんです。だけど、周りの子たちもすごく喜んでいました。真由子が危篤になった日の朝に「もうダメかも」とhideさんに電話で話していたんです。「せめてもう一度、電話ででも声を聞かせてもらえたら」と伝えたら、すぐに駆けつけてくれてました。

――その時は東京にいらして?

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駆けつけたのはhideさんだけじゃなかった