一方で、NPBの公式サイトはというと、お世辞にも充実しているとは言い難い。ライブ配信はなく、肝心の個人成績についてもお粗末で、例えばリーグ別の個人打撃成績ランキングを見ようとすると、打率順に並んだページがあるのみ。これを本塁打順に並べ替えるソート機能すらないありさまだ。選手単位で見ても、確認できるのはシーズン単位の主要なトータル成績だけで、月間成績や試合別の成績(いわゆるゲームログ)などもチェックできない。情報配信もお察しで、プレスリリース的なお知らせがほとんど。試合結果を伝えるニュースなどはなく、コラムなどの読み物もほとんどない。

 ただし、NPBにも「NPB-BIS」と呼ばれる公式記録の管理システムは存在する。これは一球速報などのリアルタイムのデータ配信サービスも含まれたもので、2016年からは刷新された新BISが稼働。過去の公式記録を1球単位で確認できる精度のサービスを、2020年をめどに完成を目指している。

 もっとも、「NPB-BIS」の主なユーザーは新聞社やテレビ局などのメディアや各球団。現在のところは一般のファンがこれらの充実したサービスを受けられる予定はない。

 球団単位の独立採算制、各種の権利による既得権益などの壁が、日本のプロ野球ファンへのサービス充実を阻んでいるのは紛れもない現実だ。だが、先に述べたようにパ・リーグの6球団は手を取り合うことに成功した。彼らの試みが収益的にもうまみがあるとなれば、セ・リーグの球団も無視はしづらくなる。

 そこでNPBが主導権を取って全球団をまとめ上げれば、公式サイトを中心としたサービスも向上するはず。実現には大きな壁があるだろうが、いつの日かNPB公式サイトが「MLB.com」に匹敵するような充実したサイトとなってさまざまなサービスを提供してくれることを期待したい。(文・杉山貴宏)