■ドールを「お迎え」するくらいの愛情

 人形やレトロ雑貨に詳しい鑑定士の池田久美さんは、転売について「一概に悪いとも言えず、グレーなところがある」としたうえで、こう指摘する。

「安く仕入れて高く売るということは規制できません。ただ、今回のように極端なものはモラルの問題。ロリーナをはじめ『ドール』は愛好家たちにとって単なる人形ではありません。スーパードルフィーを買う人はドールを『お迎えする』というくらいの愛情を持っている人が多い。特に今回はスーパードルフィーの愛好家だけでなく、中原淳一さんのファンの思いも強かったのではないでしょうか。(京都での対応は)愛情を持った人に、という思いではなく、利益のほうを見てしまったのかなと感じてしまう部分もある」

 中国の通販サイトにロリーナらしき人形が掲載されていることを受け、池田さんは「昨今のドール市場に精通する者が買い占めたのではないか」と分析。こう続ける。

「中国をはじめとして、アジアでは皆さんが思っている以上にドール市場のすそ野が広い。個人で集めている人形をお譲りに出すときも、海外の方から購入したいという問い合わせが増えました」

 また、池田さんは中国のサイト上で付けられた「約15万円」というロリーナの価格にも注目する。

「正直、思っていたよりも手頃だという印象があります。(5月に)日本橋での販売があるので、短期勝負で売り切ろうとしている可能性もあります。100体すべてを買い占めたことで価格操作ができ、値崩れを防ぐこともできます」

 日本橋での抽選受付は5月16日、19日、20日の3日間。抽選は警備員立ち会いのもと、動画撮影で記録を残しながら行われるという。当選後の代金引き換えということもあり、今度は騒動でロリーナを知った人の「とりあえず応募」が懸念されるところだが、高島屋は当選通知への反応がなかった場合、繰り上げで当選者を出すことで対応するとしている。5月の販売では、心からロリーナを愛する人に「お迎え」されることを願うばかりだ。(AERA dot.編集部 福井しほ) 

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福井しほ

福井しほ

大阪生まれ、大阪育ち。

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