男子校や女子校の「別学校」と、男女一緒に学ぶ「共学校」。中学受験の志望校を選ぶ際に、どちらにするか迷う親や受験生は少なくない。「カンペキ中学受験2019」(朝日新聞出版)では、教育評論家や別学校・共学校に取材し、その特徴を紹介。志望校を決める際の参考にしてほしい。

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 最近は毎年のように女子校から共学化する学校がある。女子校は数が多く競争が厳しいことが一因だ。2018年は文化学園大杉並、八雲学園、青山学院横浜英和が共学化する。逆に、男子校から共学化するのは有名大学の付属校が多い。たとえば02年に早稲田実業、07年に法政大第一、08年に明治大付明治が共学化した。その理由を、安田教育研究所代表の安田理さんはこう見る。

「18歳人口が大きく減少する年を『2018年問題』として、大学は早くから危惧していました。そこで、付属校を共学にすることで、下からの進学のパイプを太くしようとしたのです。少し前までは早稲田大や明治大、法政大はバンカラのイメージが強く、女子から敬遠されていました。しかし、今はキャンパスが整備され、校風もソフトになっています。女子は真面目にコツコツと勉強するので、優秀な学生を確保できるというメリットもあります」

 縮小傾向が続いている別学校だが、保護者や受験生の支持を集めている学校も多い。一番の利点は、異性の目を気にせずのびのびと過ごせることだろう。安田さんが話す。

「男子校の生徒は、女子を意識せずに、いい意味での“オタク”に没頭できる。今は授業にアクティブラーニングを取り入れている学校が多く、周囲を気にせず積極的に発言できるのも別学の良さです。女子校の体育祭などは、ものすごく盛り上がります」

 一般的に別学校は、歴史ある伝統校が多い。中には文化財のような重厚な校舎の学校もある。男子ならではの耐久型の行事を実践している男子校や、茶道や華道などの伝統文化を取り入れている女子校も多い。安田さんが言う。

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柿崎明子
ライター 柿崎明子

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