以前に比べて男子生徒の英語教育に対する関心が高まっているが、八雲学園は米国のサンタバーバラに「八雲レジデンス」という独自の施設を持ち、海外研修を行って現地の高校生と交流するなど、生きた英語を学ぶことができる。

 また文化学園大杉並には、日本とカナダ両方の高校卒業資格が取得できる「ダブルディプロマコース」がある。このような国際教育が、保護者や受験生に評価されている。

■公立中高一貫校は6倍超の高倍率

 入試日程や回数を変えることで、志願者増につながった学校もある。昭和学院秀英は午後入試を新設して近隣の学校との併願者が増えた。開智は先端クラスで新たに特待生入試を設けて注目され、巣鴨は入試回数を2回から3回に増やした。いずれも志願者が増加した。広野さんは言う。

「もともと教育内容がしっかり整えられている人気校です。入試変更を行ったことで注目を集め、改めて評価されたのでしょう。来年も勢いが続きそうです」

 公立中高一貫校は、1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)の募集2680人に対して応募者は1万6000人にのぼり、平均競争率が6倍超の高止まりが続いている。最近では私立中との併願者が多く、私立と公立の垣根が低くなっている。入試で実施される適性検査は、大学入試改革の先駆けと評価されており、「たとえ不合格でもいずれは大学入試につながるため、勉強したことが無駄にはならない」とする塾関係者も多い。

■中学入試でも、さらに思考力・表現力が求められるように

 今年の入試結果を踏まえて、北さんは来年の入試傾向を次のように予測する。
「明治以来の大きな改革と言われている20年からの大学入試改革により、日本の教育が大きく変わろうとしています。今後は入試の多様化が進み、知識の積み重ねだけではなく、ますます思考力、表現力が求められるようになります」
 
 19年も新設校や共学化などの動きが見られる。埼玉では細田学園が新設される。東京ではドルトン東京学園が開校予定だ。また、神奈川の桐蔭学園中教が男子校から共学化し、同時に桐蔭学園中(男子部・女子部)は募集を停止する。横浜富士見丘学園も共学化する。公立一貫校では、大宮西高を母体として、さいたま市立大宮国際中教が開校予定。そのほか、東京の日出が日本大の準付属校になり、目黒日本大に校名変更する。

(文・柿崎明子)

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