阿波踊りのクライマックスを飾る総踊り (c)朝日新聞社
阿波踊りのクライマックスを飾る総踊り (c)朝日新聞社
4月12日に掲載された徳島新聞の見解
4月12日に掲載された徳島新聞の見解

 「えらいやっちゃ、えらいやっちゃ」というお囃子にのって浴衣姿の男女が踊り歩く徳島市の「阿波おどり」の主催団体が分裂し、えらいことになっている。

【画像】4月12日に掲載された徳島新聞の見解

 徳島市の阿波おどりを巡り、約4億円の負債を抱えて破産手続きの開始決定が出た同市観光協会が4月16日、記者会見し、「債務返済のめどがついたので、今夏の阿波おどりの準備を進める」と表明した。

 山田実理事によると、企業などから約3億3000万円の融資を受け、協会の資産を合わせると4億8000万円程度が調達できたという。

 協会は同日、徳島地裁による破産手続き開始の決定を不服として高松高裁に即時抗告した。

 一方、協会の損失を補償する契約を結んでいた徳島市は今年3月、地裁に協会の破産手続きの開始を申し立てていた。

 そして今夏の阿波おどりは市が主体で開催し、4月末にも実行委員会を発足させると表明。これまで観光協会と阿波おどりを一緒に主催してきた徳島新聞にも委員会入りするよう要請し、徳島新聞も了承していたという。それを協会が前述の会見でちゃぶ台返しした形だ。

「徳島市が協会の借金を代わりに払うということは市民の税金が使われる。今まで通り阿波踊りを続けてほしいという市民から多額の支援が寄せられた。市民にご迷惑をおかけすることはできない。通常通り、協会が主催者として阿波踊りをやる」(山田理事長)

 こうした協会と市と徳島新聞の対立に地元では、「2つの阿波踊りが開催されるのか」「どちらの阿波踊りに行けば踊れるのか」などと困惑の声が上がる。

 協会が前述の会見で、市側についた徳島新聞に対し、不満をぶちまけたことも、「2つの阿波踊り」に拍車をかけている。

 徳島新聞は4月12日、阿波踊りを安定的に運営できるようにと「阿波踊り振興基金」を設立して3億円を市に寄付すると表明。紙面では累積赤字については、協会とともに責任があると認めたが、赤字の支払いなどは拒否。協会側が「財布」を握り、阿波踊り改革案を拒否したことが赤字の要因だと、説明した。

 また、これまで赤字の原因とされていた、徳島新聞の「チケット販売」や「看板広告」の独占などについても、問題がないと紙面で訴えた。だが、協会の山田理事長は徳島新聞にこう反論した。

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徳島新聞への反論は…