ここまで、やや期待はずれの結果になっているのが風間八宏監督の率いる名古屋グランパス。連勝でスタートしたものの、第4節から5連敗。ルヴァン杯の方も負けが込んでいる。

 ここまで14失点は、名古屋の攻撃的なスタイルを考えれば許容範囲。やはり問題は8得点の攻撃だ。主軸のシャビエルを怪我で欠いていることに加え、組み立てから仕掛けにズレが生じている様にも見える。風間監督はやるべきことを継続することを強調しており、J1のステージでいかに質を高めていくかが問われているとも言える。

 その名古屋よりも深刻な状況にあるのはクルピ新監督を迎えたG大阪だ。プレシーズンではいろいろなシステムをトライしながら、現役高校生の中村敬斗など若い選手を積極的に起用してきたが、ここまで1勝1分6敗という成績であり、さすがに手堅い起用法にシフトしないとまずい状況になってきている。

 最も痛かったのは、経験豊富なMF今野泰幸の怪我であり、中盤でボールを取れないので攻撃の位置が低く、そこから高い位置までボールを運んでも相手の守備が揃っているのだ。

 唯一の勝利を飾った磐田戦は立ち上がりに得たCKからDFのファビオが決めたことで試合を有利に運ぶことができ、終盤にカウンターから現在最も頼りになるアタッカーであるファン・ウィジョが個人技で持ち込んで決めるという、G大阪にとって理想の展開になったため、この勝利をもってチーム状態が上向いたとは簡単には言えない。

 フロントも育成型の監督であることを承知でクルピ監督を招聘したはずだが、下位のポジションに慣れているチームではないだけに、これ以上負けを重ねるのはかなり危険だ。とにかく、中断期間までは現在の陣容で持ちこたえる必要がある。複数の代表クラスを揃えるチームだが、井手口陽介が海外移籍し、今野に代わる中盤の備えが足りていない。

 その中で起用法に大ナタを振るうのか。この危機を経験豊富な指揮官がいかに乗り切れるかは大きな注目だ。特に古巣との対戦になる4月21日の大阪ダービーは“クルピ・ガンバ”の命運をかけた一戦になるかもしれない。

 広島が首位を独走し、G大阪が最下位に沈んでいるのは目立つが、全体的には2位の仙台から11位の磐田まで4ポイントと大きな差は開いておらず、1つの勝利と敗戦で順位が変わる状況だ。

 ここから中断期間までの7試合で順位が大きく変動しているかもしれない。今回は詳細に触れなかったが、現在3位のC大阪は勝ち点で並ぶ仙台を4月25日に、中断前の5月20日に広島と直接対決を控えており、この期間のカギを握るチームになりそうだ。(文・河治良幸)