昨季のアジア王者である浦和レッズは開幕5試合未勝利で堀孝史監督を解任。しかし、大槻毅氏が暫定監督として引き継ぎでからリーグ3連勝を飾っている。

 ユースの教え子である橋岡大樹を右ウィングバックに抜擢するなど、従来の主力も新人も分け隔てなく競争をうながし、明快な指示で選手の効果的なハードワークを引き出している。相手をねじ伏せる強さは無いが、得点機を確実にものにして粘り切るサッカーはそれまで見られなかった現象だ。

 独特のビジュアルからサポーターの大槻人気も高まっているが、暫定監督として「できるだけ勝ち点を稼いで次の監督にバトンタッチしたい」と語る。

 その後任監督には鹿島アントラーズでJリーグ史上初のリーグ三連覇を果たした実績を持つオズワルド・オリヴェイラ氏が確実視されている。現在、勝ち点11で10位。首位の広島とは勝ち点11離れているが、今季はACLも無く、上位争いに急浮上してもおかしくない。

 その浦和で昨季の途中に解任された“ミシャ”ことミハイロ ペトロヴィッチ監督が就任したコンサドーレ札幌は上位戦線で台風の目になりつつある。

 [3-4-2-1]を採用するJクラブは少なくないが、ペトロビッチ監督のそれは高度なオートマティズム(自動作用)を駆使する攻撃的なスタイルであるため、札幌の選手が習得するには時間がかかると予想する見方が強かった。

 確かに、ところどころギャップが生じるシーンはあるものの、そこを相手に突かれかけても守備陣が体を張り、J屈指のセービング能力を持つGKク・ソンユンが相手に立ちはだかる。

 攻撃面は“ミシャ”スタイルをベースに、その申し子であるMF駒井善成を攻守の軸として、DF福森晃斗やMF宮澤結樹の正確なパスやクロスに大型FW都倉賢がゴール前で合わせる形をチームとして共有している。

 タイ代表のチャナティップや川崎からレンタルで加入の三好康児といったテクニシャンのドリブルやトリッキーなパスもダイナミックなスタイルの中でアクセントになっている。

 福森の左足キックに都倉、CBの進藤亮佑らが合わせる迫力あるセットプレーも札幌の強力な武器であり、接戦での強さに直結する。チームとしてはまだまだ完成途上であり、若い選手も多いことからシーズン中で成長すれば後半戦まで上位争いをかき回す可能性はある。

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期待はずれのチームは?