暫定的に浦和の指揮を執る大槻毅氏 (c)朝日新聞社
暫定的に浦和の指揮を執る大槻毅氏 (c)朝日新聞社

 明治安田生命J1リーグは第8節まで終了。約4分の1が経過した時点で城福浩新監督率いるサンフレッチェ広島が勝ち点22で独走、そこから勝ち点7離れてベガルタ仙台とセレッソ大阪が追う展開となっている。

 その一方で、クルピ新体制のガンバ大阪は1勝1分6敗で最下位に沈んでいる。ロシアW杯まで2カ月を切ったこともあり、選手個人のアピールも注目されるが、その中断期間まで7試合となっており、カップ戦も挟む過密日程の中で、どこまで勝ち点を伸ばせるか後半戦にも大きく影響してくることは間違いない。

 最注目は、最後まで残留争いを強いられた昨シーズンから一転、首位を独走する広島だ。城福新監督は、プレッシングとポゼッションを志向しながら、状況に応じて速攻も織り交ぜるサッカーを実現している。

 コンサドーレ札幌との開幕戦は、スリリングな試合内容だったが、これを1-0で勝利すると、アウェーの浦和戦は前半リードを許し、ボール保持率も大きく下回りながら、好機を逃さず逆転勝利したことで波に乗った。

 8試合で11得点2失点。縦横をコンパクトにして選手間の距離を短くし、攻撃時も守備のバランスを崩さないスタイルは攻撃的でも守備的でもある。

 それを可能にしているのは運動量と効率性だ。基本的にアクション型でありながら相手のスカウティングを徹底的に行い、選手に的確に伝える城福監督は結果もともない、若手からもベテランからも高い信頼を得ている模様。

 全体がコンパクトであるため、幅のある攻撃を得意とするチームには苦しい戦いを強いられる可能性もある。その意味では5月12日に行われる第14節、現在2位につけている仙台との上位対決がシーズンの“試金石”になるかもしれない。

 その前に攻守の切り替えの早さが特徴で、鋭いサイドアタックを武器とする第9節、4月21日のサガン鳥栖との試合も気を抜けない一戦だ。

 仙台は新監督が率いる広島とは対照的に、就任5年目となる渡邉晋監督が3バックをベースに[3-4-2-1]や[3-3-2-2]を使い分ける組織が浸透しており、全員守備・全員攻撃の連動性あるサッカーを披露している。

 第8節の川崎フロンターレ戦も昨季のJ1王者に対して大半の時間帯で優勢にゲームを進め、スコアレスドローながら仙台の強さを示す試合となった。

 課題は得点力であり、良い形でチャンスを作りながら点にならないシーンでいかに決め切るか。新外国人のラファエルソンが負傷離脱中という事情の中で、エースの石原直樹、21歳の西村拓真ともに3得点と頑張るが、2列目の野津田岳人や大卒新人FWのジャーメイン良の奮起に期待したいところだ。

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浦和の暫定監督は人気者に