アーセナル戦で復帰した吉田麻也(写真・Getty images)
アーセナル戦で復帰した吉田麻也(写真・Getty images)

「マジすか?」

 4月8日に行われたプレミアリーグ・アーセナル対サウサンプトン戦後の取材エリア。ちょうど囲み取材直前のタイミングで、日本サッカー協会がヴァイッド・ハリルホジッチ監督の去就に関する記者会見を行うとの一報が舞い込んできた。解任発表前であったため、「解任の可能性も報じられているが」と伝えると、吉田麻也は驚いた様子で冒頭の言葉を発した。

 3月に行われたマリ代表、ウクライナ代表との強化試合を左膝内側側副靱帯損傷で欠場した吉田は、日本代表の雰囲気について「最後に行ったのは(昨年)11月なので、さすがに分かりかねます。少なくとも11月はブラジルは強かったですけど、ベルギーとは良い戦いができたし。そんなどん底という感じではなかった」と明かす。

 さらに、プレミアリーグで降格圏18位に沈むサウサンプトンと比較し、「今のサウサンプトンに比べたら、まだまだポジティブじゃないんですか」と終始驚いた様子で語った。

 ただ、意を決したように言葉をつないだ。振り返ったのは、オーバーエイジ枠で参加し、4位の好成績を残した12年のロンドン五輪だった。当時の五輪代表は大会直前になってもチームの戦い方が定まらず、組織的な動きを構築できていなかった。

 そこで、選手だけのミーティングを実施し、プレスの開始位置や最終ラインの位置取りを決めた。一枚岩となったチームはグループリーグ初戦でスペインを撃破すると勢いに乗り、準決勝まで勝ち進んだ。

「(ロンドン)オリンピックのときも、僕が入った当初は悲惨な状態でしたけど、結果も出たし。それがサッカー。何があるのかわからないのがサッカーだし。まあ、結果がすべて。結果を出せば、皆さんもコロっと変わるから」

 日本代表はハリルホジッチ監督の電撃解任で今も激震に見舞われている。だが、もちろんワールドカップ(W杯)は待ってくれない。4年に一度の祭典が6月14日に開幕する事実は変わらないのだ。大会まで残り2カ月となった最終段階で、日本代表の主力選手たちがどんなコンディションと境遇にあるのか--。この点も、日本代表の行方を占う上で重要なポイントになってくる。

 日本守備陣の要である吉田は、4月8日のアーセナル戦で実に3カ月ぶりとなる先発出場を果たした。1月27日のFAカップ4回戦・ワトフォード戦で67分から途中出場しているが、最後の先発出場となると、1月6日のFAカップ3回戦・フルハム戦までさかのぼらなければならない。吉田にとって、アーセナル戦は久しぶりの先発だった。

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