珍名踏切マニアがいく! 謎多き「切られ踏切」を調べてたどり着いた同士の存在 (1/3) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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珍名踏切マニアがいく! 謎多き「切られ踏切」を調べてたどり着いた同士の存在

連載「珍名踏切が好き!」

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今尾恵介dot.#今尾恵介#鉄道
「切られ踏切」の全景。右は森、左はソーラーパネルが並ぶ太陽光発電施設

「切られ踏切」の全景。右は森、左はソーラーパネルが並ぶ太陽光発電施設

市役所を回ってたどり着いた大貫駅。踏切の最寄り駅はひとつ北隣の青堀駅

市役所を回ってたどり着いた大貫駅。踏切の最寄り駅はひとつ北隣の青堀駅

大貫駅を発車する木更津行きの電車。千葉市の通勤圏でもある

大貫駅を発車する木更津行きの電車。千葉市の通勤圏でもある

今回紹介した踏切周辺の地図

今回紹介した踏切周辺の地図

 踏切の名称に惹かれて何十年の、いわば「踏切名称マニア」である今尾恵介さんが、全国の珍名踏切を案内してくれる連載。今回は「切られ踏切」を紹介します。

【踏切脇の光景など、謎多き「切られ踏切」の写真特集はこちら】

*  *  *
 その名も「切られ踏切」。なんとも強烈な印象である。千葉県南部を東京湾沿いに走る内房線で木更津から2つ目、場所は青堀駅から1.5キロほど南西へ進んだところだ。地形図によれば歴史の古そうな道が斜めに線路を渡る箇所に設置されている。行政区画は富津市青木で、ちなみに青堀という駅名は青木+大堀の合成地名でできた青堀村にちなむので、合併で青堀村がなくなって以来、青堀駅の他には青堀小学校、青堀幼稚園などに名残をとどめるのみだ。

 東京駅から直通する快速電車の終点・君津駅で館山行きの普通列車に乗り換えようと思ったが、計画性もなく来てしまったのでだいぶ時間が開いてしまった。そこで駅前広場に出てみると、ちょうど大貫駅行きの日東交通バスが停まっていたので、それに乗る。後で知ったのだが、1日7往復しかないその便が発車寸前だったのは幸運だった。私の他に乗客はいない。せっかくなので「富津中学のあたりへ行きたい」と言うと、なんとか回送車を免れた女性運転士さんは、富津中入口で降りればいいと教えてくれた。そこから踏切までは歩いて1.1キロほどである。この場面で「切られ踏切へ行きたいんですが……」などと直接的に尋ねるなど、世間体を少しは気にする私にはなかなかできない。

 富津中入口で下車。走り去ったバスを見送り、富津中学校の方へ歩く。最初に渡った「第二青木踏切」は、大字の地名をそのまま使ったオーソドックスなものだった。踏切の札によればここは起点の蘇我駅から数えて75番目、距離は42キロ989メートル地点。幅員は6.6メートルだ。渡ってすぐ左へ折れて青木の集落東端を古い細道でたどっていくと、ほどなく次の踏切が見えてきた。近づいてみれば、なるほど事前情報の通り「切られ踏切道」の堂々たる看板がかかっているではないか。先ほどは第二青木「踏切」だったのに、今回は「道」が付いているのはなぜだろう(法律用語としては「踏切道」で正しいのだが)。その下には起点から76番目で蘇我駅起点43キロ355メートル。幅員は5.5メートルと少し狭い。もちろん「切られ」に関する由来を記した説明板もない。

 誰かに話を聞くため、さっそく青木の集落の方へ戻ってみた。ちょうど軽トラックを降りて畑へ入っていった爺さんがいたので、呼び止めて尋ねてみる。70代前半と思いきや、80歳を超えているという。


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