◇


 SNSといえば、先日「友人」になったクルド人の男性にはちょっと気の毒なことをした。イラク北部在住の大学生。クルドの旗とともに映ったプロフィル写真に英文のメッセージが記されている。

「人は過去を変えることはできない。できるのは過去から学び、未来に備えることだけだ」

 ありふれた中身で、前に書いたコラムとの共通点を感じる。メッセージで質問を重ねても、

「I have to sleep」「I have to go. I'm sleeping」

 つまり「もう寝なきゃ、寝かせてくれ」と離脱しようとする。そのあたりがいかにも学生で、いずこも同じだと親しみを覚えた。

 彼のプロフィルを見ても、日本との接点はうかがえない。「フォロー中」の28人の写真は公開されていないが、なかなか寝かせてくれない日本人のがん患者がほかの誰とも「同じ」でないだろうことは想像できる。

 ここで「不同人」を持ち出すのは、さすがに強引だろうか。

 ちなみに、彼が暮らす地域に桜はないそうである。

著者プロフィールを見る
野上祐

野上祐

野上祐(のがみ・ゆう)/1972年生まれ。96年に朝日新聞に入り、仙台支局、沼津支局、名古屋社会部を経て政治部に。福島総局で次長(デスク)として働いていた2016年1月、がんの疑いを指摘され、翌月手術。現在は闘病中

野上祐の記事一覧はこちら